健康と認知症の中間の状態!?「軽度認知障害(MCI)」とは?【いっちゃん☆メディコ】
日本人の平均寿命が延びている一方、2024年5月、厚生労働省は2060年には高齢者のおよそ6人に1人が認知症になるという推計を発表しました。
今回は、健康と認知症の中間の状態といわれる「軽度認知障害(MCI)」について、富山大学附属病院 脳神経内科 教授の中辻裕司(なかつじ ゆうじ)医師に聞きました。
(2024年6月17日放送。情報はすべて放送時のものです)
軽度認知障害(MCI)とは?
中辻医師
「物忘れはあるけれども、社会的な生活や日常生活に大きな支障やトラブルを起こしていない状況の方を、軽度認知障害と呼びます」
「軽度認知障害(MCI)」
健康な状態と認知症との中間の状態で、物忘れなどはありますが、日常生活には支障がない状態のことです。
2024年5月、厚生労働省は、認知症の患者が2060年には645万人になるという推計を発表しました。また、軽度認知障害は632万人と、認知症とほぼ同数になるとみられていて、この両者を合わせた数は1277万人と、高齢者のおよそ3人に1人にあたると予測されています。
軽度認知障害になると、必ず認知症に進行する?
中辻医師
「軽度認知障害のすべての方が、そのまま認知症に進むわけではありません。元に戻ることもあれば、そのまま進む可能性もあります。ただ、一般の同年代の方よりは高い確率で認知症に進んでいきます」
軽度認知障害の状態から正常なレベルに回復する人もいます。
一方、健康な状態から認知症になる人の割合は1~2%なのに対し、軽度認知障害から認知症へと進む人の割合は10~30%となっています。
軽度認知障害と認知症の違いは?
では、軽度認知障害と認知症の違いはあるのでしょうか。
中辻医師
「はっきりした定義はありません。家庭や社会で、何らかのトラブルが起こっているかどうか。トラブルなく過ごしている場合は、認知症とは言いません」
軽度認知障害に気づくきっかけは何でしょうか。
- 眼鏡や時計を置いた場所を忘れてしまう
- 鍵を失くして探すことが増える
- 家族から「それさっき言ったでしょ」と言われることが多い など
このほか、ものを探している姿が増えて家族が気付くケースもあります。
「認知症」を早期に治療するためには、「軽度認知障害」の状態で発見することが重要です。
「認知症」の早期治療には「軽度認知障害」の発見が重要
中辻医師
「ご家族や同僚、友達から最近よく物を忘れてるねと言われるとか、同じことをよく聞いたりとか、昨晩の晩御飯がパッと出てこなかったりして、あれ?っと思う時にはちょっと要注意です」
軽度認知障害の治療には、運動や生活習慣の改善などが効果的です。
認知症の進行を遅らせる薬「レカネマブ」は、軽度認知障害や、軽度のアルツハイマー型認知症の人が対象で、治療の選択肢になる可能性があります。
あれ?と思ったら、早めの受診を
中辻医師
「数カ月から半年経って変わっていなかったら、生理的な老齢による物忘れと思ったらいいでしょう。明らかに少しずつ進んできたなと思ったら、まずはかかりつけのお医者さんに相談してください。そのうえで認知症になる可能性が高いと言われたら、紹介状をもらって、物忘れ外来や脳神経内科、精神科を受診するのがいいと思います」
軽度認知障害は、早めに受診すれば自分や家族が今後の準備を早く始められるだけではなく、回復する可能性もあります。
「あれ?」と思ったら早めの受診をお勧めします。