高齢者の6人に1人が認知症になる時代に…大事なのはとにかく早期発見&早期受診【いっちゃん☆メディコ】
日本人の平均寿命が延びている一方、2024年5月、国は2060年には高齢者のおよそ6人に1人が認知症になるという推計を発表しました。
この「認知症」と向き合うために重要なことはなんでしょうか?
富山大学付属病院 脳神経内科 教授の中辻裕司(なかつじ ゆうじ)医師に聞きました。
(2024年6月10日放送。情報はすべて放送時のものです)
そもそも「認知症」とは?
中辻医師
「年齢とともに認知機能が徐々に落ちてくるんですけれども、日常生活に何らかの支障をきたす状況になったときに、私たちは一般に『認知症』と呼んでいます」
「認知症」とは脳に障害が出て、日常・社会生活に支障が出るようになった状態です。
厚生労働省は、認知症の高齢者は2025年には471万人、2040年には584万人と増え続け、2060年には645万人と、高齢者のおよそ6人に1人は認知症になると推計しています。
中辻医師
「一番多いのは、アルツハイマー型す。これが大体6~7割ぐらいあります。日本の場合は、その次に脳血管性認知症が多く、3番目にレビー小体型認知症が多いですね」
日本では、認知症の約9割を「アルツハイマー型」と「脳血管性」「レビー小体型」の3つが占めています。
「アルツハイマー型」は、脳に特殊なたんぱく質がたまることで発症します。一方、「脳血管性」は脳の血管障害で起きる脳梗塞や脳出血によって引き起こされます。「レビー小体型」は、脳の神経細胞が減少することで起き、レビー小体という異常なたんぱく質が脳に見られます。
認知症の症状は「物忘れ」だけじゃない!
認知症の症状というと、アルツハイマー型の「物忘れ」がよく知られていますが、症状はそれだけではありません。
中辻医師
「一般的に、脳血管性の場合は、それほど物忘れの症状は強く出ないんです。どちらかと言えば、気分障害や感情障害、あるいは、血管障害によって体のどこかに麻痺が出ます。その次に多いレビー小体型の場合は、幻覚を見るなどの精神的な症状の場合が多いです。それから、よく診察するとパーキンソン症状を伴っている場合も多いです」
認知症は完治できない!
早期発見と早期受診がとにかく大事
一般的に認知症は完治しませんが、なかには治るケースもあります。
中辻医師
「なかには治る認知症というのもあるんです。たとえば甲状腺機能低下症とか糖尿病など、ベースにある疾患が原因で認知症になっている場合は、治るわけです。あるいは、高齢の方でしたら、知らない間に慢性硬膜下血腫を起こしている場合があるので、それが原因の場合は血腫を取り除けば治るんですね。数としてはわずかなんですが、これを見つけるというのがまず大事なんです」
中辻医師
「患者さんに『早く受診することが大事ですよ』と言っているのは、まず一番に“治る認知症”を見つけるということなんです」
認知症の進行を遅らせる薬として注目されているのが、「レカネマブ」という薬です。この薬の対象となるのは、軽度のアルツハイマー型認知症の人と、認知症の前の段階の「軽度認知障害」の人です。
中辻医師
「(レカネマブの服用によって)認知症が発症して早期の方は、進行スピードが明らかに遅くなるということが証明されています。現時点では、約1年半の経過後、30%程度進行が遅れるという結果が出ています。これからいくつか、そういう新しい薬が市場に投入されてくると思います」
認知症はとにかく早期発見が大事です。
中辻医師
「もちろん、物忘れというのが一番多い症状なんですけれども、必ずしも物忘れから始まらない認知症というのも当然あります。ですから、『今までとちょっと違う』『どうも家庭内でおかしい、トラブルがある』ということがあった場合に、まず自分のかかりつけ医を早めに受診してください。そこで相談された上で、必要な場合は大きな病院なり専門の外来に紹介していただく形にした方がいいと思います」
認知症は早期に発見することで、自分や家族の対応に向けた準備をできることもあります。おかしいと思ったら、とにかく早めの受診を考えてください。