日々進化する「がんゲノム医療」免疫の力でがんを攻撃する薬「免疫チェックポイント阻害薬」とは?【いっちゃん☆メディコ】
免疫の力でがんを攻撃する薬「免疫チェックポイント阻害薬」など日々進化する「がんゲノム医療」について、富山大学附属病院 臨床腫瘍部 教授の林龍二(はやし・りゅうじ)医師に聞きました。(2024年4月22日放送。情報はすべて放送時のものです)
林医師
「いわゆる抗がん剤を試していたんですが なかなか効かず お腹も痛くて、もう夜も眠れないほどに痛みが強いというような状況の人がいまして、その薬剤を投与することができました。本当に夜も眠れないような痛みだったのが、飲んだ夜からですね、痛みが治まったというふうにおっしゃってましたので、本当に劇的に聞いたケースもあります」
がんゲノム医療とは?
がんゲノム医療とは、がんの複数の遺伝子を同時に調べる「遺伝子パネル検査」を行い、遺伝子の変化が見つかった場合に、その変化にあう薬を探す方法です。
特定の分子だけに作用する「分子標的薬」とは?
林医師
「がんの原因は遺伝子の変化によるものです。がん遺伝子と呼ばれるものがあるんですけども、細胞が限りなく制限なく増え続けるのが がん細胞です。ならば、そこの今 活性化し続けているタンパク質を狙った薬を投与して、それを抑えることをすれば、そのがん細胞の増殖が止まるだろうというような考え方で、分子標的薬というのは作られています」
分子標的薬とは病気の原因となっている、特定の分子にだけ作用する薬です。
林医師
「他の分子にはあまりその影響はありませんので、比較的副作用が少なくて、そしてがん細胞を抑える力が強い薬剤を開発することができます」
分子標的薬はどのくらいの数が開発されている?
分子標的薬は、どのくらいの数が開発されているのでしょうか?
林医師
「現在、分子標的薬はもう100に近い数になっていると思います。そして年間も10以上の薬剤が今、開発をされているというふうに認識しております。今後ですね、世界中でいろいろな遺伝子の変化に対して分子標的薬などを開発していますので、将来的にはこうした努力ががん撲滅に繋がると考えています」
そのほか免疫の力をいかす薬も登場しています。
林医師
「このお薬を投与すると、がん細胞を叩く、体の中の免疫力を高めることができます。これもですね、大体、固形がんの方で2割ぐらいの人は、よく効くと言われてますが、そういった免疫チェックポイント阻害薬を、このがんゲノムの遺伝子パネル検査で効く人を見つけ出すということも行っています」
免疫チェックポイント阻害薬とは?
免疫チェックポイント阻害薬とは、免疫の力でがんを攻撃する薬です。
がん細胞は免疫細胞の攻撃にブレーキをかけさせることで増殖しようとしますが、この薬はそのブレーキを阻止することで免疫細胞の力でがん細胞を攻撃させようというものです。
林医師
「その方の遺伝子パネル検査をしたところ、ある特定の遺伝子ではなくて、多くの遺伝子に変化があったという結果が出ました。その方は免疫チェックポイントを投与したことによって、もうがんがほぼ消えてしまったようなですね、状況になって、社会復帰も果たしています」
血液でゲノム検査ができる時代に…
がんゲノム医療で重要なのが遺伝子パネル検査です。現在は手術の際に採取したがん組織や、がん組織を内視鏡で採取して検査していますが、この検査法も進歩しています。
林医師
「この遺伝子パネルを何とかできないかということで、実は血液ですね。血液を検体として、血液の中に漏れ出てくるがん細胞から出てきたゲノムを検査をするというやり方も、始まっています。さらに精度が上がればもっと簡便にですね、血液検査によって、このゲノム検査が行われる時代は来ると思います」