富山大学附属病院 臨床腫瘍部の医師に聞いた「がんゲノム医療」 年間約2万人が受ける「遺伝子パネル検査」とは?【いっちゃん☆メディコ】
がん治療の中でも最近、注目されている「がんゲノム医療」。現在、富山県内で「がんゲノム医療」が受けられるのは、富山大学附属病院と富山県立中央病院の2つです。
「がんゲノム医療」について、富山大学附属病院 臨床腫瘍部 教授の林龍二(はやし・りゅうじ)医師に聞きました。(2024年4月15日放送。情報はすべて放送時のものです)
林医師
「ゲノムというのは、細胞の設計図というふうに言われている通り、我々の体を作っている細胞の機能を全て制御する設計図というか、暗号というか、そういったものです」
私たちの細胞の中には体を作る設計図ともいえるDNAが30億連なっています。そのDNAの遺伝情報の総称がゲノムです。
がんになるのはどうして?
林医師
「どうしてがんになってしまうのかっていうのがまさに今言った、ゲノムの変化によって起こってくるということがわかってきています。タバコを吸ったりとか、何かの細菌に感染したりとか、発がん物質等にですね、さらされることによって、遺伝子が変化してしまって、その結果、がん細胞になるというのが一般のがんの出来方で」
「がんゲノム医療」とは?
「がんゲノム医療」とはどういった医療なんでしょうか?
林医師
「まず、がんゲノム医療というのは何かというと、がんというのは、遺伝子の変化によって起こるものなので、その遺伝子の変化そのものを検査するというやり方が、最近技術進歩によってできたということで、この遺伝子パネル検査を行います」
がんゲノム医療とは、がんの複数の遺伝子を同時に調べる遺伝子パネル検査を行い、遺伝子の変化が見つかった場合にその変化にあう薬を探す方法です。
遺伝子パネル検査の対象は?
遺伝子パネル検査は誰でも受けられるのでしょうか?
林医師
「標準療法といって、こういうがんだったらこういう治療をしましょうという治療のやり方ってのは、決まってるんですね。使う薬剤は決まっているので、その標準療法を行った上で、その標準療法では効かなかったというかですね、治りきらなかった人というような形で、保険診療としてのこのがんゲノム医療を受けられるということになっています」
がんの標準治療とは「手術」「抗がん剤治療」「放射線治療」の3つです。この3つで治りきらなかった、治りきる見込みがない人が保険診療として遺伝子パネル検査を受けられます。
林医師
「この保険制度が始まったのが2019年の6月になります。2023年の12月までですかね、昨年の末までで全国で6万例ほどのこの遺伝子パネル検査が行われています」
2019年6月から去年8月までに全国で6万人以上が遺伝子パネル検査を受けています。現在では年間2万人余りが検査を受けています。
遺伝子パネル検査で有効な薬、治療法が見つかったのはどれくらいでしょうか?
林医師
「この遺伝子パネル検査の結果、治療が見つかるということがあるんですが、大体ですね、全国の統計で見ますと、10%弱の方がこの遺伝子パネル検査の結果によって発見された治療法を受けるというような統計が出ています」
2019年6月から2022年までに遺伝子パネル検査の結果、薬の投与に結びついたのは9.4パーセントでした。
林医師
「1割は多くはないかもしれないけども、やはり全国にがんの患者さんってのはたくさんいらっしゃいますので、その数を見ると、かなりの数の人がこの検査によって有効な治療を見つけられることができたというふうに言えます」