思春期に発症することが多い「手掌多汗症」 検査方法は?治療薬は?【いっちゃん☆メディコ】
日常生活に支障が出るほど手のひらにたくさんの汗をかく「手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)」。
検査方法や治療薬などについて、富山県立中央病院 皮膚科 部長の石井貴之(いしい・たかゆき)医師に聞きました。
(2024年3月25日放送。情報はすべて放送時のものです)
石井医師
「試験のときの緊張によって答案用紙が濡れてしまうとか、働いてる方ですと、握手をするときとか、そういう人と人と触れ合う際に自分の手の汗が気になって、支障をきたす方も多いです」
思春期に発症することが多い「手掌多汗症」
「手掌多汗症」は手のひらにたくさんの汗をかき、答案用紙が濡れてしまう、握手ができないなど生活に支障がでる病気でその多くが思春期に発症するといいます。
石井医師
「緊張すると汗をかいて常にハンカチが必要、ご家族さんがふとしたときにそれに気づいて、なんで答案用紙がちょっと湿った、濡れた跡みたいものがついてるのかというので、こんなに汗をかいてかきすぎているんだってことで不安になられて受診されたっていう患者さんもおられます」
手のひらの汗 病気と診断される基準は?
手のひらの汗、病気と診断される基準は何でしょうか?
石井医師
「多汗症の診断基準には、設定項目が六つあり、そのうちの二つ以上該当する場合に多汗症と診断されます」
原因のわからない汗が6か月以上あり、25歳以下であること、左右対称に汗をかくこと、睡眠中に過剰に汗をかかないことなど、6項目中2つに該当すれば病気の可能性があります。
手掌多汗症かどうか、どんな検査をするの?
では検査はどんなことをするのでしょうか?
石井医師
「汗の重さを測ったりとか実際汗をかいている場所を、検査薬を塗ってチェックしたりとか細かい検査もありますが、多くの場合は問診、患者さんとの会話の中の状況をお話いただくことによって、診断することが可能ですので、過度に負担になるようなケースはありませんので、ご安心いただいて結構です」
手のひらの汗は発汗がどの程度我慢できるか、生活にどのくらい支障が出ているかで重症度が判断されます。
手掌多汗症の治療法は?
ではどのような治療が行われるのでしょうか?
石井医師
「最近いわゆる病院で処方できる処方薬としまして、抗コリン外用薬というものが登場しました。抗コリン外用薬というのは、汗の線の出る神経に作用して、神経が汗の腺の分泌量を調節するんですけども、そこに作用することによって、汗を出にくくするというお薬でそれを使用することによって、今まで汗をかきすぎて困っていた方が劇的に良くなったという声も耳にしております」
手掌多汗症 薬の使用方法は?
手掌多汗症の薬はどのようにして使用するのでしょうか?
石井医師
「夜に塗り薬を塗ってお休みいただいて、朝起きたら手を洗うという、使い方も非常にシンプルですので、比較的簡単に使用できるかと思います」
手掌多汗症の薬、使用期間は?
どのくらいの間、使用するのでしょうか?
石井医師
「お薬を使い始めて、大体1週間ぐらいで、治療の効果が出てきますので1日1回、夜寝る前にお薬を塗るだけで大丈夫です。試験の際に、汗で答案用紙がびしょびしょになって困ってたという患者さんが、抗コリン外用薬を使ったことによって、汗の分泌量が減って、診察の際に、実際に手を触ってみてよって、こんなすごく汗かいてるのに、こんなにサラサラになったよと言ってくれるような、そのぐらい効果があった方もおられます」
手のひらの汗が気になる人は皮膚科の受診を!
この病気は命にかかわるわけではありませんが、生活の質が低下することが考えられます。
石井医師
「自然とだんだん汗の分泌量が年をとるにつれて減ってくることもありますけれども、結構長い年月、症状が続く方が多いので、自分が単なるちょっと汗っかきかなと思われる場合でも、実際にはそれが病的だということもありますので、少しでも当てはまる思い当たるところがある方は一度受診いただければ幸いです」