手のひらに汗をかきやすい人ってどんな人?原因は何?手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)で生活の質が下がる可能性も【いっちゃん☆メディコ】
「手に汗握る」という言葉がありますが、手のひらの汗が多くて生活に支障が出るケースがあどういうことでしょうか。
この手のひらの汗について、富山県立中央病院 皮膚科 部長の石井貴之(いしい・たかゆき)医師に聞きました。
(2024年3月18日放送。情報はすべて放送時のものです)
石井医師
「ご本人が汗をかき過ぎることによって日常生活に支障があるというふうに感じれば、それは多汗と言われる汗をかきすぎと考えて良いと思います」
これは「手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)」と言われる病気の可能性があります。この病気、日常生活にどんな影響があるのでしょうか。
石井医師
「答案用紙、本当にびしょびしょになってしまうと、要するに書いた字が消えてしまうぐらい汗をかかれる方っていう人がおられまして、試験にも集中できませんし、実際論文レベルでは、そういう多汗という汗をかきすぎることによって、億単位の生産性の影響が出ているというような報告もあります」
このほかに握手で相手を不快にしないかと心配になる、パソコンやスマートフォンなど電子機器に影響が出るといったケースがあるといいます。
手のひらの汗の原因は、暑いから?
石井医師
「実際には暑いから汗をかく、手のひらに汗をかくわけではなくて、むしろ精神的な要因で汗をかくことが多いんですね。汗をかいて体の体温を下げていくという温熱性発汗っていうそういう役割があるんですけども、実は手のひらにはそういう作用はなくて、むしろ精神的な緊張によって交感神経が活発になって、それで汗の腺の分泌が過剰になるという精神発汗っていうのが主に行われているんです」
汗をかき始めるとそれが気になってさらに汗をかくという悪循環に陥るかもしれません。
どれくらいの人が この「手掌多汗症」の可能性があるのでしょうか。
石井医師
「様々な報告があるんですけれども大体人口に対して5%から10%以上と言われています。10人に1人以上ですね、いらっしゃると思います。ただ、実際にその中で病院を受診される方っていうのは、その半分以下というような報告が多いです」
手掌多汗症は 何歳ぐらいから発症するの?
手掌多汗症は 何歳ぐらいから発症するのでしょうか
石井医師
「発症年齢は基本的に25歳以下とされていまして、要するに、学童期ぐらいから発症する、学童期から思春期ぐらいに発症する方が多いです」
進学など生活環境が大きく変わるシーズンに入ります。この病気を発症する人が増える可能性はあるのでしょうか。
石井医師
「可能性はあるかと思います、新しい生活環境になって緊張する機会も増えますので、それによって手のひら足の裏に汗をかきやすくなるのを、改めて自覚する患者さんもおられるかと思います」
この病気の原因は何?
この病気の原因は何でしょうか
石井医師
「原因自体ははっきりとはわかってないですね。ただ汗の数とか、汗っていう分泌腺があるんですけども、分泌腺の数とか大きさが健常人と多汗症の方とで差があるということはないので、いわゆる汗を出そうとする神経分泌ですね、神経の伝達がそこのところの影響で汗をかきやすくなっているということはわかっています」
新生活シーズンにはどう対処したらいい?
生活環境が大きく変わるシーズン、子どもたちをどうケアすれば良いのでしょうか?
石井医師
「特に思春期とか新生活を始めたお子さんをお持ちの親御さんにとっては、自分の汗のかき方自体が本当に異常なのかどうかとか、そういうこともわからないこともありますので、ふとしたときに、汗をかきすぎてるなっていうふうに感じることがありましたら、積極的に声がけいただいて、医療機関を一度受診して診察を受けていただくことをおすすめいたします」
この病気は命にかかわるものではありませんが、生活の質が下がる可能性があります。たかが汗と思わず、子どもの手のひらの汗、ちょっと注意して見てあげてください。