ミルフィーユパイといちご大福が合体!? 明治2年創業の老舗菓子店がつくる新感覚スイーツ【菓匠かじわ屋】南砺・福光
「洋菓子と和菓子のいいトコどりをした新感覚のスイーツ!」とSNSで話題になっているお菓子が富山県南砺市にあると聞いて、取材してきました。
斬新なスイーツを手掛けるのが、南砺市・福光の「菓匠かじわ屋」。
看板に風格を感じる1869年(明治2年)の創業で、福光の中心商店街に軒を連ねる、昔ながらの菓子店です。
ぱっと見では変わったところはないようですが…
ありました。軒先の看板には「いちご大福ミルフィーユ」の文字!
いちご大福×ミルフィーユ
ボリュームたっぷりの新感覚スイーツ
いちご大福ミルフィーユ 880円
こちらがSNSで話題の新商品。
約13cm四方の大きなパイに、いちご大福がまるまる1個のっています。
生クリームに、地元・立野原のいちごで作ったソースもたっぷりと。
手に取ってみると、ずっしり重みを感じるほどのボリューム感!
どこからどうやって食べたらいいのか迷っちゃうほど、厚みがあります。
注文してから作ってもらえるので、パイ生地はサックサク!
ミルフィーユ状に焼き上げた軽いパイ生地には発酵バターを練り込んでいるそうで、上品な風味がたまりません。
中には自家製カスタードがぎっしり!
お隣の小矢部市で生産されるブランド卵の黄身をたっぷり使用しており、濃厚でやさしい甘さです。
と、パイとカスタードだけでも大満足なんですが…
やっぱり気になるのはいちご大福ですよね。
一番目立つところにあるいちご大福は、パイやクリームに合うようにアレンジした特製品。
「かじわ屋」の定番商品のいちご大福は、老舗店らしく昔ながらのコシを感じる餅に仕上げていますが、こちらはやわらかくとろけるような食感となっています。
甘酸っぱいいちごと、もっちり大福、まったり甘いあんに、サクサクのパイとなめらかなカスタード…どこを切り取っても「おいしい!」の大渋滞です。
それにしても、なぜこんな奇抜な商品が生まれたのでしょう?
創業150年を超えて愛されるワケ
時代に合わせた商品を次々に生み出す老舗菓子店
創業150年以上の老舗菓子店「かじわ屋」の始まりは、東京浅草から移住し店を開いた初代・梶野和助。
創業者の「梶」と「和」の字をとって「かじわ屋」と名付けられ、店内には大正時代の売掛帳や落雁の木型など、歴史を感じるものが飾られています。
こう書くと、いかにも歴史と伝統を重んじる由緒正しい老舗店のようで、「さぞ、古くから代々受け継がれる銘菓やしきたりがあるんだろうなぁ~」と思ってしまいますが…
「あんまりそういうのはないんですよ。うちで今一番古いのは、5代目が作った『もなか』ですかね~」と、7代目の中村和靖さんが教えてくれました。
「四喜満堂」と書いて「しきもなか」と読むこちらは、富山県産のもち米・新大正を使った餅とつぶあんが入った四角いもなか。中村さんの祖父の代に発売され、約50年愛される定番商品だそう。
そして現在の1番人気は、中村さんが生み出した「木楽里(きらり)」というバームクーヘン。
地元・南砺市産のコシヒカリの米粉や小矢部市のブランド卵を使い、五箇山の合掌造り集落や井波彫刻といった地域文化に根付いている木材の木目をイメージした美しい洋菓子です。
店内にはどら焼きなど定番の和菓子とともに、和菓子をアレンジした菓子やケーキなどの洋菓子も並びます。
というわけで、「かじわ屋」は時代に合わせて斬新なアイディアで次々と新しい商品を生み出すことで、ずっと地域に根差した菓子店として愛され続けてきたのです。
「作りたてのパイを手に福光のまちを歩いてほしい」
店主の想いが生んだ“持ち歩けるミルフィーユ”
そんな「かじわ屋」も、コロナ禍ではしばらく新商品を出さずに耐え忍ぶ時期が続いたそう。
その反動が一気に押し寄せたのか、どうなのか…2023年秋に発売された新商品はかなり独創的なものでした。
それが大きなパイ生地にカスタードを詰め込んだ「持ち歩けるミルフィーユ」です。
ブリュレミルフィーユ(左) 660円
おいもミルフィーユ(右) 秋季限定
ベースとなったのは、店で人気のパイの中に大福が入った小ぶりのおやつ。
ですが、時間が経つとパイがしんなりしてしまうことが中村さんには心残りで、「それはそれでおいしいんだけども…やっぱり作りたてが一番おいしい!」という想いから、注文を受けてから生地にクリームを流し込んで作ることにしました。
さらに、SNSでの印象も意識してこんなデザインに。
若い人にも店を知ってほしい、福光のまちなかに足を運んでほしい、そんな中村さんの想いが詰まって誕生したスイーツなんです。
思惑通り、持ち歩けるミルフィーユは発売直後からSNSで好反応。
中村さんも確かな手ごたえを感じたようで、このたび季節限定のいちご大福バージョンを生み出したそう。
さらに、春には「お花見」バージョンも考案中だとか!
老舗の看板を守りつつ、新しい商品を生み出す「かじわ屋」から目が離せませんね!
店舗情報
【菓匠かじわ屋】
住 所 南砺市福光6780-1
営 業 8:00~18:00
定 休 火曜
駐車場 なし(近くに無料の福光中心市街地駐車場あり)
記事編集:nan-nan編集部