昭和感が漂う懐かしのドライブイン
富山~砺波の国道359号沿い「ホーライサン」
自家用車が欠かせない地方での暮らし。
中でも富山県は世帯当たりの保有台数が、福井県に次いで全国2位(2022年/自動車検査登録情報協会)。道路の整備率もトップクラスで、毎日の暮らしに欠かせない存在となっています。
そんなわけで、富山県内には運転中に立ち寄って食事や休憩ができるドライブインが各所にあります。近年はコンビニエンスストアや道の駅に押されて減少傾向にありますが、地域に根差したドライブインは個性豊かなところも多く、そこにしかない「味」があります。
そこで今回は、ちょっと意外な名物グルメと店主夫妻のあたたかい人柄に癒される峠のドライブインを紹介します。
富山市から石川県金沢市へと至る国道359線、通称サンゴク。
その富山市婦中町と砺波市の間、射水丘陵を貫く峠で半世紀以上にわたってドライバーたちに愛されているのが、「お食事処ホーライサン」です。
サンゴクを通ったことがある富山の人なら、大きな看板を見たことがあるのでは?
ホーライサンは、1972(昭和47)年の創業。
大型車が何台も止められる広い駐車場はドライブインならではですが、瓦葺きの屋根や格子の引き戸は昔の民家のような出で立ちで懐かしい感じ。カウンター席や座敷の小上がりなど、店内も昭和レトロで落ち着きます。
ただ、このホーライサンの名物となっているグルメは、ドライブインではちょっと珍しいものなんです。それが…
- ジンギスカン定食(ご飯・味噌汁付き)1450円(税込)
ジンギスカンです!
ふつう、ジンギスカンと言うとタレに漬け込んである羊肉を焼いて味わうイメージがありますが、こちらでは味のついていない生の肉を焼いてからタレにつけていただきます。
本場・北海道の味を求めて
くさみがなく、やわらかくて甘いジンギスカン
一口食べてみると…肉が甘い!! 噛めば噛むほど旨みが出てきます。
しかも柔らかいんです!
ジンギスカンと言うと、羊肉特有のくさみを敬遠する人もいるかもしれませんが、ホーライサンの肉はくさみもほとんど感じません。
さすがは50年愛される味、納得です。
もともとは隣にあるブドウ園でワインのお供として提供されていたジンギスカン。本場・北海道と遜色ない味を求めて、研究を重ねたそう。
そうしてたどり着いた、羊本来のやわらかくて甘みを感じるジンギスカンは若いドライバーにも人気で、最近では女性のお客さんが1人で訪れることも増えているんだとか。
長年愛されるメニューはほかにも。
峠のドライブインで味わう山の幸
店の雰囲気も最高の調味料
- 竹の子釜めし定食 1650円(税込)※季節限定
春の味覚、タケノコをたっぷり使った釜めしです。
山中の峠道にあるドライブインだからこそ、山の幸を味わうには格別です。タケノコの香りと食感でお腹も心も満たされ、車を運転してきた疲れが吹き飛びそう!
常連客が足しげく通う理由は、こうやって旬の地元食材を使った季節ごとのメニューにあるのかもしれませんね。
若いドライバーにも人気!
昔ながらのクリームソーダ
- クリームソーダ 600円(税込)
昔から変わらないメニューのひとつがクリームソーダ。
グラスに入ったメロンソーダに大きなバニラアイスが浮かぶ姿は、シンプルで典型的なイメージそのもの。
レトロでかわいい写真が撮れるため、若者にも人気です。
お店を営む岩瀧さん夫妻は、意外にもインターネットのクチコミを頻繁にチェックしていて、特に若い人の好みやお店の味をどう感じたかが「めっちゃ気になる!」そうです。
「いいコメントがあったら嬉しいし、悪い投稿があった場合はそこを直せばいいから」
少しずつ時代の変化や人々の好みに合わせて味やメニューに工夫を凝らしてきたからこそ、ホーライサンは半世紀を超えてなお愛され続けているのかもしれません。
そんな岩瀧さん夫婦のあたたかい人柄も、まさしくホーライサンの「味」です。
お店も人家も少ない国道の峠。特に暗い夜道では、看板の明かりを見るとほっとします。
「この明かりを消すことなく一日でも長く続けていきたい」と岩瀧さん。
峠のドライブインで一息つけば、またあたたかい気持ちで旅を続けられそうです。
【お食事処ホーライサン】
住 所:富山県富山市婦中町吉谷1−1
電話番号:076-469-5511
営業時間:平日 午前11時~午後3時、午後5時~午後8時
土日祝 午前11時~午後8時
定 休 日:月曜
出典:KNBテレビ「ワンエフ」
2023年4月28日放送
記事編集:nan-nan編集部