ハザードマップの「空白地域」に注意
災害関連死を含め19人が亡くなった、去年9月の奥能登豪雨。
先日、KNB news every.の取材を通して、改めて「中小河川の怖さ」と「備えることの大切さ」を感じました。
奥能登豪雨では、規模の小さな川が次々と氾濫し、大きな被害につながりました。
輪島市の塚田川では、わずか30分で水位が1.1mも上昇したといいます。
大きな川の場合は、避難まで余裕があるケースもありますが、中小河川は一気に水位が上がるため、避難の判断を迅速に行う必要があります。
話を伺ったのは、富山県立大学工学部の呉修一教授。洪水や津波など水害の専門家です。
呉教授は「中小河川は整備が行き届いていないためあふれやすく、増水のスピードが速い」と強調します。
さらに呉教授は「ハザードマップの空白地域」の問題があると指摘します。
市町村が公表しているハザードマップには、一見安全に見える“空白地域”があります。
例えば魚津市を流れる大座川流域。ハザードマップを見てみると、大座川周辺に浸水を示す色は塗られていません。
大座川のような中小河川は、水防法改正により2021年に浸水想定区域指定の対象になりました。
富山県内では210の河川が対象となり、県はそのうち120河川の洪水浸水想定区域を今年6月に公表しています。
しかし公表されたデータは、県内各市町村のハザードマップにはまだ反映されていないのです。
ハザードマップに合成してみると、色のついた範囲が広がり、最大3mの浸水が想定される場所もあります。
魚津市に問い合わせたところ、ハザードマップへの反映は来年度以降になるとのことです。
実は来年の出水期から、新しい気象防災情報の運用が始まる予定で、その内容を踏まえてから公開するとのことでした。
また富山市は、残りの90河川の浸水想定区域の発表後の対応を予定していて、ハザードマップの改定はまだ少し先になりそうです。
発表済の120河川の浸水想定区域は県のホームページで確認できます。
自宅や勤務先、さらに通勤・通学路が該当していないか、ぜひ一度チェックしてみてください。
※下記画像は合場川、明神川流域を合成したものです。スライドして比較してみてください。
呉教授は中小河川の特徴として、橋に流木が引っかかることであふれやすいこと、さらに川が蛇行している部分も洪水が起きやすいと教えてくれました。
対策としては企業などでは止水版の設置や土のうの準備し、家庭では避難の「トリガー」、すなわち何が起きたら避難するのかを、家族で話し合う事が大切だそうです。
呉教授の研究室では、地域住民向けに無料の防災セミナーを開いています。ハザードマップの見方や、避難のタイミングを一緒に学べるということで、町内会単位で申し込むケースもあるそうです。
呉教授は「県立大学は富山県のための大学なのでいくらでも協力します!」と、心強い言葉をいただきました。詳細は研究室のホームページに記載してありますので、問い合わせてみてください。
「自分は大丈夫」と思わず、備えを積み重ねていくことが、命を守る第一歩です。ぜひ新しい情報をふまえた災害対策を検討してみてください。