【突発性難聴】3人に1人が回復しない難治性疾患 治療法を専門医が解説【いっちゃん☆メディコ】
3月3日は「耳の日」で、3月は、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が定める「耳鼻咽喉科月間」です。
誰でも発症の可能性がある「突発性難聴」の治療について、富山大学附属病院 耳鼻咽喉科 頭頸部外科 森田由香医師に聞きました。
(2026年3月16日放送。情報はすべて放送時のものです)
突発性難聴は、初期治療が大切
森田医師
「初期治療が早いことがやはり大事でしょうかね。文献的にも、治療開始がやはり遅れるというのが、1つの治りづらい要因の1つにはなっています」
突発性難聴の治療のポイントは、医療機関への早めの受診だといいます。
森田医師
「翌日すぐ行けないこともあるとは思いますけれど、血管が詰まって聞こえが悪くなったっていうことを想定した場合は、やはり早く受診していただいた方がよろしくて、それがやっぱりタイムリミット1週間以内かなと考えております」
ステロイド治療が一般的
どのような治療が行われるのでしょうか。
森田医師
「鼓膜まで異常がなくて、やはりこの突発性難聴、蝸牛が傷んでいる、急に傷んだんだろうということが推定された場合は、神経が傷んでいるということを想定していますので、これを元気にするということでステロイドの治療をすることが一般的です。大体どこの施設でも1週間から10日ぐらいでお薬を少しずつ減らしていくような点滴、もしくは飲み薬の治療をすることが一般的になります」
ステロイド治療で改善しなかったら?
ステロイドによる治療で症状が改善しない場合は、次の段階に進みます。
森田医師
「治らなかった場合は画像の検査ですね。蝸牛の神経に何かおできができてないかとか、他に免疫の病気がないかとか、精密検査をさらに進めていった方がいいかなと思いますし、神経が弱っているわけですので、酸素不足状態を想定して、体の中の酸素の圧を高めてあげる高気圧酸素療法というのがあります。大体10日間ぐらいですかね、毎日毎日そのタンクに入っていただいて治療することもできます」
森田医師
「あとはですね、点滴でお薬を届けるのにはちょっと耳の中に届きにくい場合もありますので、鼓膜からステロイドのお薬を入れるという救済治療を実施する場合がありますね」
突発性難聴は、3人に1人が回復しない「難治性疾患」
それでも、「突発性難聴」が難治性疾患と言われるのは、3人に1人が回復しないとされているからです。
森田医師
「早期に治療を始めても、これがそこの病気のちょっとわからないところ、不思議なところなんですが、完全に聴力が元に戻る方が3分の1です。3分の1の患者さんは、悪くなった聴力がそのままで全く変わらないです。つまり、治療したのに全く変わらない不変ということになりますね。残りの3分の1の方が途中まで治る、中途半端に治る、後遺症を残したという形になるでしょうか。これがどの医療機関から出てきても同様の回復率ですので、一般的にはそういう治療効果しか今のところは得られない疾患ということになりますね」
補聴器や手術の選択肢も
様々な治療で変化がみられない場合は、補聴器によるサポートのほか、手術という選択肢もあるといいます。
森田医師
「聞こえの神経が傷んでしまって、補聴器で音を入れてもここが働かない場合は、人工内耳という選択があります。基本は、人工内耳の患者さん、両耳が悪くなって補聴器を使っても十分な会話ができない方が手術でここに電極を入れるということになるんですけれど、突発性難聴で片耳が悪くなってしまった方に対する人工内耳っていうのも、今後、保険適用になってくると思いますので、選択肢は色々増えてくるのかなという風には思っております」
耳の健康を守るためにできることは?
耳の健康を守るために、普段から気を付けるポイントはあるのでしょうか。
森田医師
「どの病気にも基本だと思いますけれど、規則正しい生活、規則正しい食事、もちろん体重のコントロールとか、タバコやお酒をやりすぎないとか、本当そういう基本的なことに尽きるかなという風に思います。ストレスをためない適度な運動ということになるでしょうかね」
耳の健康は認知症やうつ病などにも影響すると言われています。森田医師は、耳に異常を感じたら早めに耳鼻科を受診してほしいと話していました。