あっさりラーメンに蒸しパンも!富山・南砺市で半世紀にわたり愛される町中華【中華料理 青龍】
富山県南砺市の福光に、地元の人から半世紀以上愛される中華料理店があります。
1968年(昭和43年)創業の「中華料理 青龍」です。
付近ではまだ「中華料理」全般を扱う飲食店がでは珍しかったころに、あんこの入った饅頭を先代夫婦が販売したことからスタートしたという店。
今では平日のランチは大勢の男性客を中心に席が埋まり、夜や休日は家族連れのにぎやかな声が聞こえてきます。
愛される理由は、一品料理から麺やごはんもの、点心まで揃う豊富なメニュー。
醤油ベースの“白くない豚骨ラーメン”や具だくさんの五目ラーメン、チャーハンなどが人気ですが、中でも鉄板は、やはりシンプルなラーメンと餃子です。
中華といえばやっぱりこれ!
シンプルなしょうゆラーメンと餃子
(左)ラーメン 630円
(右)餃子 5ヶ 390円
昔から変わらないという、シンプルなラーメン。
スープはあっさりしているのに旨みがあって、思わず飲み干してしまうほどです。
毎朝6時から仕込むスープは豚骨、鶏ガラ、香味野菜に、卵を産まなくなった「ひね鶏」をまるごと加えることで、味に深みが生まれるそう。
手間暇かけて丁寧にとったスープは、午前中はあっさりめ、午後は煮詰まって濃い味に変わっていくと言います。
多くのラーメン店はどのタイミングで提供しても味を均一にすることに心を砕きますが、「青龍」のラーメンは時間とともに変化する味もまた魅力です。
麺は地元の製麺所から仕入れていて、季節や天候にあわせて水分量などを細かく調整しています。
つるつるとした食感の細麺で、一気にすすり上げるとスープとのバランスがたまりません。
餃子は、先代の店主がさまざまな店の味を研究して生み出したそう。
焼きたては肉汁がしたたり落ちるほどジューシーなのが特徴で、決して味付けが濃いわけではないのにコクがあります。
飽きがこない味は、ラーメンだけでなく、ビールとも合いそうです。
スタッフからもお客さんからも人気
まかない料理から正規メニューになった中華飯
ラーメンや餃子が昔ながらの味を守っているのに対し、新しいメニューも加わっています。
「豊さんの中華飯」もそのひとつ。
野菜やひき肉、エビがごろっと入った具だくさんのあんが、ごはんにたっぷりと。醤油ベースの味は少し濃いめにしてあり、ごはんが進みます。
豊さんの中華飯 960円
豊(ゆたか)さんというのは、調理スタッフ。
元はまかないで出していた料理で、おいしいので試しにオススメ料理として出してみたところ、好評だったんだとか。
当の豊さんは「仕込みが大変だから…」とオススメ料理として出すのに乗り気じゃなかったそうですが、食べた客からアンコールが続出し、はれて正規メニュー入り。以来、ずっと愛されている人気メニューです。
SNSで女性人気に火が付いた!
甘い系から惣菜系まで種類豊富な蒸しパン
また、最近では2代目女将が始めた蒸しパンも人気。
「塩あんバター」「ベリーカスタード」「抹茶あずき」といったデザート系から、「エビチリ」「とんこつ」「カレー」など軽食や惣菜になる味まで、レパートリーが豊富。
販売は週に1度、木曜のみ(夏季は休止)ですが、20~30種類が店頭に並ぶ様子は圧巻です!
今でこそ、ランチタイムに売り切れてしまうこともあるほどの人気商品ですが、2019年に販売を始めた当初、男性客には見向きもされなかったとか…。
人気に火が付いたきっかけは、赤ちゃん連れのママ層がきっかけでした。
実はこの蒸しパン、離乳食用のレシピをベースにしているそうで、地元産のかぼちゃを使用した「かぼちゃ」や「豆乳」といった味は小さな子供のおやつにもぴったりなのです。
SNSを通じて女性の間で話題になり、今では「青龍」の看板メニューとなりました。
ピザまんをイメージしたというエビチリ。
「青龍」のエビチリにミニトマト、チーズが入っています。生地にもチリソースを練りこんであります。
ちなみに、蒸しパンの「塩あんバター」「ブラックセサミ」に入っているあんこは、1968年の創業当時に販売していたふかし饅頭の自家製あんこと同じレシピを使っています。
新しいメニューの中にも、変わらない味が息づいています。
親子3世代で集まれる空間に…
決して奇抜ではありませんが、「また食べたいな」と思ってもらえる味の町中華。
「親子3世代で暮らす居間のような空間を提供できたら…」と語るのは、2代目の湯浅貴仁さんです。
先代からの常連客に、ヤングファミリーまで。
幅広い客層に愛される「中華料理 青龍」。変わらぬ味と、時代に合わせて登場する新しい味、そのどちらも地元民に愛される人気店です。
記事編集:nan-nan編集部