世界遺産の集落で受け継がれる伝統の味ー大豆の風味が凝縮した【“木綿よりも堅い″五箇山豆腐】
縄で縛ってもくずれない!
奈良時代の技法と食文化を今に伝える堅い豆腐
富山の名物グルメと言えば、寒ブリ、シロエビ、ホタルイカなどの旬の海鮮グルメやブラックラーメンなどがすぐに思い浮かびますが、「五箇山豆腐」ってご存知ですか?
なんでも木綿豆腐よりも堅いんだとか。
どれくらい堅いかと言うと…
はい、縄で縛ってもくずれないほど堅いんです。
名前に冠せられた「五箇山」とは、富山県の南西部、岐阜県との県境に位置する集落を総じて指す地域名称。
5つの谷間(やま)に40の集落が点在していて、そのうちの2つの集落ーー相倉地区と菅沼地区は、隣接する岐阜県白川郷と共に、現在も昔ながらの合掌造りの家屋を残していることから、1995年、ユネスコの世界遺産に登録されました。
「五箇山豆腐」は、そんな日本の暮らしの原風景を残す地域で、今もなお昔ながらの製法を守って作られている豆腐です。
そもそも豆腐が日本で食べられるようになったのは奈良時代。
当時、中国から伝わった豆腐は、今のようにやわらかいものでではなく、水気が少ない堅豆腐と言われるものでした。
五箇山豆腐は、当時のその技法と文化を受け継いでおり、かつての風習を知る上でも貴重な食材なのです。
五箇山で大正初期から豆腐業を営んでいる喜平商店の「五箇山とうふ」。
地元となみ産の大豆と、標高1000mから湧き出るミネラルが豊富な伏流水で作られます。
大豆をすりつぶして煮た豆乳ににがりを加え、型に入れるところまでは通常の豆腐の作り方と変わりませんが、特徴は水を抜くための重石です。
その重さ、なんと20kg超!
大豆の風味がぎゅっと凝縮されて、素朴ながらもしっかりと旨味を感じることができます。
くずれないので刺身やステーキでもOK!
豆腐レシピのレパートリーが格段に増加
水分が少ないので型くずれせず、調理する際の下処理も不要。
しっかりと豆腐が締まっているので、薄く切って刺身として味わうことも。
ふつうの絹豆腐や木綿豆腐の冷奴よりも重みがありますが、決して堅いわけではありません。調味料や薬味をつけずにそのまま口に含むと、大豆の素材の味がストレートに伝わります。
薬味は生姜よりも、爽やかなわさび醤油のほうが相性はよさそうです。
喜平商店では、できたての五箇山豆腐のほかにも、豆乳や豆乳で作ったソフトクリームなどを販売しているので、世界遺産の合掌造り集落を散策した後に豆腐や豆乳でちょっとひと息つくのもよいかもしれません。
【店名】とうふ工房 喜平商店
【住所】富山県南砺市上梨608
アレンジ料理なら拾遍舎
さらに、「もっと本格的にアレンジ料理を味わいたい」という人に人気なのが、拾遍舎(じっぺんしゃ)です。
喜平商店のすぐ近くにある手打ちそばと豆腐料理の店で、ステーキや田楽を蕎麦と一緒に味わうことができます。
昔ながらの変わらない製法を代々受け継ぎ、文化と歴史を感じることができる「五箇山豆腐」。
合掌造り集落と一緒に、その地域のみなさんが培った貴重な味わいを楽しんでみてください。
【店名】拾遍舎
【住所】富山県南砺市上梨747
出典:KNBテレビ「ワンエフ」
2021年7月9日放送
記事編集:nan-nan編集部