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待ってました、立山黒部アルペンルート全線開通!【雪の大谷】国際線再開後初のことしは何メートル?

富山が世界に誇る絶景!
道の両側に雪の壁がそそり立つ「雪の大谷」

雪の大谷、2023年は 13メートル!

3000m級の山々が連なる北アルプス、その山中を貫いて富山県と長野県を結ぶ立山黒部アルペンルートが2023年は4月15日に全線開通します。

 

この時期の見どころは、なんと言っても「雪の大谷」。

世界でも有数の豪雪地帯と言われる室堂平ですが、なかでも標高2390mの大谷付近は吹き溜まりになっているため、アルペンルートの中でもっとも積雪量が多い場所となります。

 

道の両側にそそり立つ雪の壁は、高さ15m前後。多い年では20mを超え、なんと7階建てのビルに相当します。

垂直に切り拓かれた雪中をギリギリですれ違う観光バスや、実際に歩いて眺められるのも魅力で、間近で見る雪の壁は圧倒的な迫力と美しさを感じさせます。

 

アルペンルートのバスやケーブルカーを運行する立山黒部貫光によると、2023年の高さは13m。この30年間の平均はおよそ16mなので、例年よりも3mほど低いという結果になりました。

それでも、コロナ禍が明けて本格的に国内外からの観光客が増えつつある今、富山観光と言えばぜひこの絶景は楽しんでもらいたいところです。

雪の大谷 過去30年の壁の高さベスト5・ワースト5

毎年、雪の大谷の壁の高さを計測している富山県道路公社に、記録が残っている30年分の高さをたずねてみました。

 

その結果、最も高かった年は…2000(平成12)年の20m。

その年の4月20日、全線開通初日に撮影した雪の大谷がこちらです。

2000年4月20日撮影
2000年4月20日撮影

高いですねぇ。歩いている人の約10倍、迫力があります。

上でカメラを構えているカメラマンも、お仕事ながら命懸けです。

 

続いて、

高さ19mの年が2006年、2015年、2017年で同率2位。

高さ18.5mの1996年と続きます。

 

一方で、残念ながらあまり高い壁とならなかったのは…

1998年と2016年の13m。

そうなんです、2023年はワーストタイ。

2000年の20mのおよそ3分の2の高さです。ですが、それでも4階建ての建物と同じくらいの高さなんですよ。

 

続いて、ワースト4が1994年の13.7m。

さらにワースト5は1997年、2007年、2021年の14mが並びます。

雪の大谷 どうやって作るの?

ところで、高さ10m、20mもあるこの雪の大谷、どうやって作られるかご存知ですか?

除雪の量を考えると気が遠くなりますが、垂直に削り取られたきれいな壁は、熟練の職人たちの技とこだわりによるものなのです。

大雪原の中からどうやって道路を見つけるの?

標高2450mの立山 室堂
標高2450mの立山 室堂

上の写真は、3月の室堂ターミナル。

平野部での積雪はほとんどない時期ですが、標高2450mの室堂ではターミナルの建物がすっぽりと雪に覆われています。

もちろん辺り一面、銀世界。高原バスのルートとなる道路がどこにあるかなんて、わかるはずもありません。

 

この大雪原の中から、どうやって道路の場所を探し、除雪するのでしょうか?

 

答えは…GPS!

と思ったみなさん、半分正解で半分ハズレです。

 

実は、現在でこそGPSが導入され、道路の位置を把握するのに役立ってはいますが、雪の大谷は何十年も前から作られています。そんな昔は「あるもの」だけを頼りに除雪が進められ、GPSが導入された今でもGPSと併用して利用されています。

 

その「あるもの」とは・・・

丸太です。

 

道路の位置や幅の目印とするため、雪が降り積もる前に道路沿いには丸太が立てられます。

高原バスのルートとなる美女平(標高977m)から室堂までの23kmの道路に立てられる丸太の数は、なんと900本(2022年現在)。標高に応じて3.5mから最長で9mの丸太が立てられ、それを目印に掘り進められるのです。

GPSが導入された今でも除雪作業は丸太が目安

除雪の労力もさることながら、900本もの丸太を積雪前に立て終え、除雪が終われば引き抜くという重労働。

GPSが導入されるようになった現在でも続けられるのはなぜでしょうか?

 

それは、GPSを使うよりも時間がかからないから!

 

標高差およそ1500m、全長23kmの曲がりくねった道路を重機を使って除雪する作業は、私たちの想像をはるかに超える高い技術が求められます。

そのため、作業にあたるのは、立山の自然の厳しさを知り尽くし、長年の経験と技術を培った職人とも言えるみなさん。

しっかり培った経験と技術があるからこそ、道路の両サイドに立てた丸太を目安にしながら除雪したほうが、GPSを頼るよりもかなりの時間を短縮できるとのこと。

納得、というよりも、驚いてしまいますね。

1ミリメートルにこだわる雪の大谷の除雪隊

雪の大谷
雪の大谷

と、ここまで読んでこられた方、ちょっと不思議な点があったことにお気づきですか?

 

除雪の目印として立てられる丸太は、長いものでも9m。

一方、最近30年間の雪の大谷の高さは、平均16m。

 

ということは……あれ、埋まってしまいますね。

そうなんです、アルペンルートの中でもっとも積雪が多い雪の大谷付近では、目印となる丸太も完全に雪の中に埋まってしまうのです。

 

では、どうやって除雪していくのでしょうか?

およそ500mにわたる雪の大谷の付近では、除雪作業に取りかかる前に、入口と出口、そして、その山側に立てた合計4本の丸太を目安に測量が行われます。寸分の狂いも許されないため、精密な測量を行ってルートを探し出していました。

 

当然ながら、もっとも雪深い大谷は除雪の難所。除雪できるのは、作業員の中でも特に経験豊富で高度な技を持っている技術者に限られていました。

 

1998(平成10)年にGPSが導入されてからは、測量とGPSの両方を駆使して今まで以上の精度でルートを割り出しています。

 

大谷の除雪に携わることができるのは選ばれた高度な技術者のみに限られ、美しい雪壁を作り上げて観光客に少しでも喜んでもらおうと、1ミリにこだわる職人の技と志は今も昔も変わりません。

 

立山の大自然で世界中の旅行客を魅了する絶景、それを影で支える除雪作業員たち。

立山黒部アルペンルートを観光する際には、ぜひその職人技と心意気に想いを馳せてみてください。

動画で解説:「雪の大谷」の作り方

出典:KNBテレビ

   2005年1月3日放送 

記事編集:nan-nan編集部

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