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富山民放ラジオ7局ネット防災スペシャル2026 避難

放送内容レポート

2026年9月3日に放送された、富山県内民放ラジオ7局共同制作特別番組「防災スペシャル2026『避難』」の放送内容報告です。 本番組は、阪神・淡路大震災をきっかけに1997年にスタートし、今年で30回目を迎えました。今回は先週の氷見市での記録的な大雨災害や、今年7月に発生した熊本地震、東北や千葉などの災害、そして一昨年の能登半島地震の教訓をもとに、災害時の「避難」の本質に迫りました。

【番組概要】

  • 番組名:富山民放ラジオ7局ネット 防災スペシャル2026『避難』
  • 放送日時:2026年9月3日(木)9:00~10:55
  • 進行役
    • 数家 直樹(KNBキャスター)
    • 堀池 真緒(FMとやまアナウンサー)
  • 参加放送局(7局ネット): 北日本放送(KNB)、FMとやま、富山シティエフエム、ラジオたかおか、ラジオ・ミュー、エフエムとなみ、エフエムいみず

【放送内容ハイライトと重要メッセージ】

1. 「レベル5」を自宅で知るな!命を守る避難のタイミング

番組冒頭では、放送のわずか1週間前(8月27日)に富山県西部を襲った記録的な大雨について振り返りました。氷見市では半日で平年の8月1ヶ月分の1.7倍にあたる300mm超の雨を観測し、県内で初めて「レベル5大雨特別警報」が発表されました。

数家キャスターは、防災気象情報の5段階警戒レベルと避難の基本原則を次のように強調しました。

「レベル3が出たら高齢者や、障害のある方は避難です。レベル4が出たら全員避難です。レベル5が出ましたらもう避難はできないとその場で命を守る――これらを頭の中に入れておくことが大切です。」 「レベル5を自宅で知るということは、すでに逃げ遅れているということです。レベル3やレベル4で速やかに避難して、安全な避難所で知るというのが正解です。」

また、自治体からの避難指示は状況判断や二次災害の懸念から遅れる場合もあるため、国土地理院の「重ねるハザードマップ」などを活用し、自ら進んで早期避難の判断をすることの重要性が語られました。

 

2. 熊本地震から学ぶ:災害関連死の激減と夏の避難所の猛暑対策

午前10時台の「パート2」では、今年7月に最大震度7を記録した熊本地震の現地から、RKK熊本放送の青谷倫太郎キャスターが電話出演。10年前(2016年)の熊本地震の教訓がどのように生かされたかが報告されました。

💡 災害関連死の大幅な減少

10年前の熊本地震では死者275人のうち約8割にあたる225人が、車中泊や避難所生活の負担から生じる「災害関連死」でした。しかし、今回の地震では死者38人に対し、災害関連死の疑いは2人に留まっています。 青谷キャスターは、その要因について次のように語りました。

「要因は、やはり皆さんの意識だと思います。『なんとかしないと本当に命に関わっちゃうよ』ということを、その我がこととして避難していた人も受け取っていたでしょうし、行政サイドもそういう風な対応をしていたと考えることができます。」

現地では、エコノミークラス症候群を防ぐため、避難所での予防意識の徹底や、地元のパーソナリティが熊本弁で掛け声をかける「体操の動画」を流して体を動かす取り組みが功を奏したとのことです。

⚠️ 避難所(体育館)のエアコン設置という高い壁

夏の避難所運営の大きな障壁となったのが、冷房設備の有無です。

  • 指定避難所の体育館・武道館の冷房(エアコン)設置率は全国平均でも33.1%に留まり、熊本県は20.9%、富山県にいたっては12.3%とさらに低い現状があります。
  • 設置率が低い理由について、青谷キャスターは「子どもたちが日常的に過ごす教室の設置(設置優先)があった。簡単に『体育館に設置すればいい』というが、どっちを優先するかというところで難しい判断があった」と明かしました。
  • 発災直後はスポットクーラーや扇風機でしのぎ、約10日ほど経ってようやく空調支援が届き始めるなど、初期段階の熱中症対策は今後の大きな課題です。

 

3. 避難生活の質を左右する「TKB」と避難所開設の教訓

数家キャスターは、避難所で命を守るために最も重要な環境条件として、アルファベットの頭文字をとった「TKB」という概念を紹介しました。

🚽 TKB(トイレ、キッチン、ベッド)の重要性

避難生活が長期化するにつれ、心身の疲労から関連死のリスクが高まります。これを防ぐための3要素が「TKB」です。

  • T(Toilet:トイレ): 清潔なトイレが必須です。不潔なトイレは使いたくないと避難者が水分補給を控えてしまい、結果として熱中症やエコノミークラス症候群を引き起こす引き金になります。
  • K(Kitchen:キッチン): 栄養の偏りがない、温かい食事の提供が心身の回復に欠かせません。
  • B(Bed:ベッド): 簡易ベッド(段ボールベッドなど)で床から高さを取ることが大切です。体育館の床での「雑魚寝」は体力を奪うだけでなく、床近くに漂うホコリやハウスダストを直接吸い込んで呼吸器系を害する原因になります。

🔑 避難所の「鍵が開かない」問題を乗り越える教訓

一昨年の能登半島地震の際、元日の発災だったため「指定避難所の小中学校にたどり着いたが、鍵がかかっていて入れない」という深刻な問題が発生しました。

  • 当時、原則として避難所は自治体職員が鍵を解錠して開設することになっていましたが、1月1日の大災害時に職員が即座に現場へ急行することは不可能でした。富山市内の海岸部では、住民が自ら窓ガラスを割って校内に入り、身を守った事例もあります。
  • 現在の改善策:この教訓を生かし、現在は物理的な鍵ではなく、暗証番号を共有して解錠できるキーボックスなどの導入が各自治体で進められており、教訓が一つ生かされていると言えます。

 

4. 乳幼児を連れた避難:知っておくべき「福祉・母子避難所」と備蓄の現実

二児の母である堀池アナウンサーが、乳幼児や小さな子どもを連れて避難する際の実態を富山市への取材に基づいてレポートしました。

🏫 「福祉避難所」と「母子避難所」の役割と仕組み

子どもが泣き叫んで周囲に迷惑をかけるのではないかという不安から、避難をためらう親は少なくありません。そうした家族の受け皿となる避難所について解説しました。

  • 福祉避難所: 通常の避難所生活が困難な乳幼児、妊産婦、高齢者、障害者などの「要配慮者」を対象とした二次避難所です。富山市内には高齢者・障害者施設など現在63箇所指定されています。
    • 利用の仕組み:災害発生時、直接福祉避難所に行くことはできません。まずは小中学校などの「指定避難所(一次避難所)」へ避難し、そこから市の判断によって福祉避難所への移動を要請・案内される仕組みになっています。
  • 母子(ぼし)避難所: 2016年の熊本地震の際に震度7を記録した氷川村では、妊娠中の女性や18歳未満の子どもを持つ家族が専用に利用できる「母子避難所」が1箇所開設されました。通常の避難所のような周囲への気兼ねを減らし、子育て世帯同士がお互い様の気持ちで寄り添える場として、全国的な普及が望まれています。

📦 避難所の備蓄の現実:おむつの「Mサイズ問題」とおしりふき・離乳食の「なし」

自治体が管理する災害用備蓄物資を調査したところ、赤ちゃん連れには極めて厳しい現実が浮き彫りになりました。

  • おむつのサイズが合わない: おむつは新生児用からビッグサイズまで細かく分かれていますが、自治体(富山市)の備蓄は「大人用も幼児用もMサイズのみ」となっています。サイズが大きすぎれば漏れてしまい、小さすぎればお腹や足を締め付けてしまいます。
  • 「おしりふき」の備蓄がない: 備蓄リストにはウェットティッシュがありますが、おしりふきはありません。ウェットティッシュは除菌や手の汚れ落とし目的のためアルコール配合の製品が多く、皮膚のデリケートな赤ちゃんのお尻に使うと、「強い刺激や痛みを引き起こす原因になる」ため代用は危険です。
  • 「離乳食(ベビーフード)」の備蓄もない: 離乳食の備蓄はありません。温めずに飲める液体ミルクについても、それを飲ませるための「専用アタッチメント乳首」や使い捨て哺乳瓶の備蓄は行き届いていないのが現状です。

🎒 私たちがやるべき「自助」とローリングストック

自治体の基本方針は、「発災直後に避難される場合は、各家庭で準備された非常用持ち出し品を持参いただき、避難当初はご自身の備蓄品を使用していただく(自助)」というものです。

  • 普段から離乳食やおむつ、おしりふき、アタッチメント付き液体ミルクを少し多めに買い置きする「ローリングストック」を実践すること。
  • 災害時でも赤ちゃんが嫌がらずに食べられるよう、「普段からローリングストックの離乳食や液体ミルクを食べ慣れ、使い慣れておくこと」が最大の備えとなります。

 

5. 被災地・能登の現在とインフラの強靭化

一昨年の元日に起きた能登半島地震からの復旧・復興状況について、国土交通省の担当者から現状が語られました。

  • インフラの復旧状況(国土交通省 富山河川国道事務所 寺井萌華さん): 大規模な土砂崩れが発生した石川県の国道249号沿岸部は、国の権限代行により通行を確保。2029年春の本復旧完了を目指して急ピッチで工事が続けられています。

 

6. 車による避難の盲点:アンダーパスの危険性

千葉県で発生した豪雨災害では、冠水した道路を走り抜けようとした車が立ち往生し、車中水没死する痛ましい事故が発生しました。 車での避難の危険性について、とやま防災武将隊が音楽とユーモアを交えて警告を発しました。

「水の集まるアンダーパスには入っちゃおしまいよ。車を走らせ入ったら最悪、身動き取れないぞ。」

  • 水深がわずか20cmでもエンストの危険が急激に高まります。
  • 水深60cmに達すると水圧でドアが開かなくなり、車からの脱出は不可能になります。
  • 万が一閉じ込められた場合に備え、サイドガラスを割るための「緊急脱出用ハンマー」を車内に常備しておくことが命を救う鍵となります。

 

7. 多様化する避難生活:ペットとの同行避難

リスナーから寄せられた「大切なペットと一緒に避難できるのか」という質問に対し、富山県の避難マニュアルをもとに解説が行われました。

  • 「同行避難」と「同居」の違い: 富山県ではペットとの「同行避難」(一緒に安全に避難所へ行くこと)を認めていますが、避難所内で飼い主とペットが同じ部屋で暮らす「同居」を認めているわけではありません。アレルギーや動物が苦手な人に配慮し、飼育スペースは居住エリアと隔離されます。
  • 事前の準備: 日頃からケージに慣れさせておくこと、はぐれた場合に備えてマイクロチップの埋め込みやGPSタスクの装着、1週間分のペットフードや簡易トイレを持参できるように備えておくことが推奨されました。

 

【おわりに】

大雨や地震はいつどこで起こるか分かりません。「まだ大丈夫」という思い込みを捨て、キキクルなどの気象情報を確認しながら、空が明るいうち、雨がひどくなる前の早期避難を心がけましょう。

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