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ANNOUNCER アナウンサー

佐渡トライアスロン”熱い”夏が終わった

国内最長 佐渡トライアスロンに再挑戦

 2023年の目標としたのが、佐渡国際トライアスロン大会の完走。エントリーしたAタイプ(ロング)の距離は、スイム4km、バイク(自転車)190km、ラン42.2km、合計236.2km(制限時間15時間30分)と国内最長の鉄人レース。

 

 去年もエントリーしていたが、直前にコロナに感染し、島に渡ることすらできなかった。1年越しに再挑戦を誓い大会に臨むが、距離の長さに正直、恐怖を感じていた。

大会前日に佐渡島へ

フェリー乗り場にも大会の横断幕が
フェリー乗り場にも大会の横断幕が
船上で雨が降り出す
船上で雨が降り出す

 9月2日(土)大会前日、新潟港から佐渡島にカーフェリー「ときわ丸」に乗船。チケット売り場には「佐渡トラ」の横断幕。約2時間30分の船旅。途中で雨が降ってきて、暑さがやわらぐ。

リストバンドで本人確認
リストバンドで本人確認
スイム会場をチェックするライフセーバー
スイム会場をチェックするライフセーバー

 佐渡島に上陸して、まずは、車で受け付け会場に向かう。手首にバンドを巻いてもらってあっさり完了。これで選手を確認する。スタート地点に移動し、スイムコースを確認していると、ライフセーバーが前日のチェックをしている。すると、自分がライフセーバー資格を取った時の指導員だった新潟・柏崎のセーバーがいるではないか。少し話をしていると、苦手なスイムにも少し安心感がわく。

苦手なスイムが意外なことに

スタート前のトランジッションで準備
スタート前のトランジッションで準備
Aタイプは赤のスイムキャップ
Aタイプは赤のスイムキャップ

 9月3日(日)大会当日、午前3時前に起床。宿の厚意で、この時間から朝食がとれた。4時前にスタート地点近くの駐車場に到着。バイクをトランジッションにセットし、その後のランなど諸々準備を進める。最終確認後にスイムキャップが配布される。憧れだったAタイプの赤色スイムキャップだ。

4km泳いだ直後は波酔いでフラフラ状態
4km泳いだ直後は波酔いでフラフラ状態

 午前6時、965人が一斉にスイム・スタート。時計周りに2kmの逆三角形コースを2周回する。波は穏やかで透明度も高く、ベストコンディション。クラゲが大量発生していたが、ウェットスーツを着るから問題ないだろう。混雑を避けて外側から泳ごうと考えていたが、外側に選手が集中しそうだったので、内側のロープ際を泳ぐことにした。多少、他の選手と体が接触するなどバトルがあったが、案外、選手の密度が少なく順調に泳ぐことができた。1周目、約40分。想定より10分早いタイム。

 

 2周目に入る時に気づいた。多くの選手が泳ぐことで海に“流れ”=ストリームができるため、これに乗れば、楽に速く泳げるのだ。2周目も快調で、スイムアップは1時間20分55秒。上出来の308位だった。

バイクがまさかの大ブレーキ

バイクはスタート直後から首と腰が痛く不調
バイクはスタート直後から首と腰が痛く不調
佐渡の名勝・大野亀をバックに
佐渡の名勝・大野亀をバックに

 次はバイクの190kmだ。佐渡島をほぼ1周する。これまで富山市の自宅から石川県・能登島まで約170kmを2回、走行するなど、暑さと距離克服のための練習をしてきた。自分はとにかく暑さに弱く、年に数回は練習中に脱水症状となり体が動かなくなることがある。バイクは炎天下で8時間は乗り続けることになるので、「熱中症にならない」、「ハンガーノック(エネルギー不足)にならない」。この2つの「ならない」を目指した。

 

 暑さ対策は、通常より数倍濃度の高い塩タブレットを用意。ボトルに2粒入れて、スポーツドリンクではなく経口補水液と混ぜる。いわばスペシャルドリンクだ。これを2本、ボトルホルダーに差し込んだ。ところが、スタートして間もなく振動でボトル1本が落下。でも大丈夫、まだ予備がある。実はフレームに4粒、ビニールテープで貼り付けていた。この日は最高気温が約33度と暑かったので、エイドに止まるたびに頭に水をかけてもらっていたが、これが想定外の事態に。貼り付けた塩タブレットは発泡性タイプで、水に濡れると“シュワシュワ”溶け出してしまうのだ。気づいた時には“あとの祭り”。大切なタブレットは、ほとんどなくなっていた。フレームに残ったカスを指でぬぐって舐めてしのいだ。

 

 また、ハンガーノックにならないよう「スポーツようかん」15本と「せんべい」4枚を用意した。結局、せんべいは食べなかったが、ようかんは約30分に一度食べようとあらかじめ決めてエネルギーを補給した。エイドの塩おにぎりもしっかり食べて乗り切ることができた。

 

 しかし、そのバイクは全く調子が上がらず8時間41分22秒、832位。500人以上に抜かれたことになる。ランスタートしたのは16時15分、関門まで残り15分のギリギリ通過だった。

フルマラソンの目標タイムは5時間

 最後のランはフルマラソンの42.2km。フィニッシュの制限時間は21時30分。バイクが遅かったので残りは5時間15分しかなかった。追い込まれる。でも、絶対、あきらめないと決意する。1周10.5kmの海沿いのコースを4周する。1周を1時間15分で回せば5時間でフィニッシュできると考えた。1kmあたり約7分のゆっくりペース。エイド以外は歩かず、走ろうと決める。

 

 だけども、暑さとバイクで足が削られていて、もう体力はいっぱい、いっぱい。3周目からは日が暮れて真っ暗、特設の照明を頼りに走る。最後の4周目、走る選手もまばらになる。途中で嘔吐、水分を取り過ぎたらしい。胃の中は空っぽになるが、逆にすっきりしてまだまだ走れた。

 

 沿道では、地元の人やフィニッシュした選手が帰らず声援を続けている。ほぼ最終走者でしか味わえない雰囲気を感じることができた。沿道の人たちには「最後までありがとうございます」と感謝を声にして返した。

正面から日差しを浴びるのでまだ暑い
正面から日差しを浴びるのでまだ暑い
暗闇の中を黙々と走る
暗闇の中を黙々と走る

感動⁉のフィニッシュへ

 スイムをスタートしたのが朝6時。フィニッシュしたのは、21時21分05秒。ゴール制限時間のわずか9分前だった。感動して涙するかと思ったが、そんな余裕は全くなく、とにかく完走できてほっとした。ランはほぼ計算通りの5時間5分02秒で310位と粘った。

 

 全体の記録は15時間21分05秒の628位。スイムとランはともかく、バイクは完走者の中では最も遅いタイムだった。トライアスロンのロングでは、距離も長く時間がかかるバイクに強いかどうかが結果を左右することがよく分かった。まだ「伸びしろがある」、と前向きに考えることにしよう。

1人ずつ並んで待ってからフィニッシュ
1人ずつ並んで待ってからフィニッシュ
フィニッシュ直後「やっと終わった」
フィニッシュ直後「やっと終わった」

「アストロマン」になる

 Aタイプ(ロング)の完走者は663人で、完走率68.7%。暑さのためだろう、完走率が前年を下回った。富山県からは10人が参加して完走は7人だった。ロングの大会を完走すると「アイアンマン」と称されると思っている人が多いが、実は、「アイアンマン」は「ワールド・トライアスロン・コーポレーション(WTC)」の登録商標で、WTCの許可(有料)がないと使用できない。佐渡トラでは「アストロマン」と呼ぶ。和製英語で、直訳すると「宇宙人」。それも悪くない。

 

 2023年の目標だったUTMF(前回投稿を参照)と佐渡トライアスロンの2つの完走を果たし「”熱かった”夏は終わった」。秋は、”登山”だ!

完走メダル
完走メダル
大会1週間後の登山
大会1週間後の登山

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