「富山高山すし空港」に慣れる日は来る?—ブールバールの衝撃音に思うこと
KNBに入社して3ヶ月になる中久木アナウンサーから、ふいに問いかけられました。 「会社の前の木から聞こえる、あの『ジリジリー!』という大きな音は何ですか?」
北日本放送本社の前の広場であるブールバール。そこには数年前から、ムクドリ対策として衝撃音を放つ装置が設置されています。かつて周辺の木々はムクドリの格好のすみかになっていて、一帯は糞の悪臭に悩まされていました。夏のイベント前ともなれば、スタッフが総出で路面の掃除に追われていたことを思い出します。
問いに答えながら、ふと考えさせられました。いつしか私自身がその衝撃音に「慣れ」、当初抱いていた不快感をまったく覚えなくなっていた自分に気づいたからです。人間とは、実によく慣れる生き物です。
「富山高山すし空港」――。 この新たな愛称にも、いつか慣れる日が来るのでしょうか。
KNB WEBで募った空港の愛称に関する意見には、わずか2日間で2944通(※3日間では約3300通)もの声が寄せられました。過去の選挙特番などでいただいた反響と比較しても、異例の多さです。すべてが否定的な意見だったわけではありませんが、批判の声は全体の6割近くにのぼり、そこに綴られていたのは、富山の空港でありながら隣県の「高山」を冠することへの違和感や、丁寧なプロセスを経て決定されたとは言い難い状況に対する、県民の皆さんの率直な憤りでした。
しかし、すでに愛称は決まり、富山空港の公式ホームページの表記も書き換えられています。今大切なのは、これほどまでに高まった県民の関心を、いかにして空港の本当の活性化に結びつけていくかという視点ではないでしょうか。
新田知事は会見で、空港と高山を結ぶ2次交通の充実の具体策について、「スピード感を持って取り組む」考えを示しました。名に「高山」を冠する以上、この整備は必要不可欠です。また、「すし」を謳うわけですから、空港内にある寿司店のさらなる拡充や、富山の食の魅力を伝えるための仕掛けも求められます。
待望の台北便が定期運航を再開する今、国内線が1日往復4便にとどまるという現状を打破する起爆剤にしなければ、この愛称変更はただの看板の掛け替えに終わってしまいます。
現在、北日本放送本社の目の前にムクドリの姿はありません。糞による汚れや悪臭に悩まされる日常も過去のものとなりました。当初耳障りだった音に耐え、やがて慣れることができたのは、結果として「身の回りの環境が改善した」という効果が得られたからではないでしょうか。
選んだ手段の是非が厳しく問われている今だからこそ、批判を覆すだけの確かな結果が、これから求められます。
「富山高山すし空港になって良かった」 県民の誰もがそう納得できる日が来るかどうかは、今後の県の施策の成否、その1点に懸かっています。KNBでもこの問題は継続して取材を続けていきます。