富山のご当地ラーメンと言えば「富山ブラックラーメン」。
戦後の復興期、肉体労働者が汗で流れた塩分を手っ取り早く摂取し、白いごはんと一緒にエネルギー補給できるようにと生まれたラーメンです。
塩味の強い真っ黒なスープと食べ応えのあるモチモチ麺が特徴ですが、その知名度が上がるにつれて、お店ごとにスープやトッピング、麺に工夫を凝らし、いまや一口にブラックラーメンと言ってもさまざまな味を楽しむことができます。
というわけで今回は、富山でブラックラーメンが味わえるお店をまとめて紹介します。
※掲載されている情報・価格は取材当時のものです
富山市
富山ブラックラーメン発祥の老舗【大喜】
富山ブラックラーメンを生んだ発祥の店、富山市西町にある「大喜」。
創業者の故・高橋青幹さんが作ったラーメンは、空襲で焼けた富山の市街地復興にたずさわる肉体労働者が空腹を満たせるように食べごたえがあり、汗で流れた塩分を補給できる塩っ気が強い濃厚な醤油スープが特徴でした。
「すする」というよりは「食べる」に近い太麺、ゴロゴロと存在感あるチャーシューとメンマ、辛味の強いネギと粗びきコショウは、初めての人には刺激が強すぎるかも…⁉ ごはんと一緒に食べたり、卵を落としたり、好みのアレンジを見つけるのも楽しみ方のひとつです。
大喜は、本店のほかに、直営店2店舗、フランチャイズ1店舗を展開しています。
大喜 唯一の暖簾分け【大喜 根塚店】
「大喜 根塚店」の創業者の松井幸夫さんは、 西町大喜で約30年に渡り、ラーメンを作り続けた職人。唯一の暖簾分け店として、1982(昭和57)年に開業しました。松井さんが大喜で学んだ秘伝の味は、息子の陽典さんに受け継がれ、多くのファンが通い詰める人気店となっています。
根塚店のスープは真っ黒ではなく、マイルドな醤油色。インパクトのある味わいですが、塩味はそれほど強くなく、ベースの出汁の旨みも堪能できるおいしさです。
そんなこだわりのスープがしっかりと絡むようにと、麺は、中太のちぢれ麺を使用。薄切りのチャーシューはたっぷりで、麺と一緒に味わうのも◎。黒コショウの風味など、全体的にバランスがとれた一杯です。
西町大喜で修業の正統派【中嶋】
富山駅南口から県庁前公園までの一帯、飲食店や居酒屋、バーが多く立ち並ぶ繁華街にある「中嶋」。初代店主は「西町大喜」で修業を積み、その味を継承する直弟子の1人。現在は2代目の店主がその味を継承し、守り続けています。
中太の麺にほどよく絡むスープは濃すぎず、コクのある味わい。それでいて、白いごはんと一緒に食べたくなるブラックラーメンのならではの塩味を感じます。
チャーシューは直前にフライパンで熱を入れて、余分な脂を落としています。分厚く食べごたえありますが、ほどけるようにやわらかな食感が特徴です。メンマと、荒く切ったネギを散らした盛り付けの見た目も食欲をそそります。
5度の日本一! 独自アレンジで大衆化【麺家いろは】
国内最大級のラーメンイベント「東京ラーメンショー」で2009年に初代チャンピオンに輝き、以降、通算5度の売上1位を獲得して“富山ブラック”を一躍全国区にした「麺家いろは」。
「西町大喜」のものよりも塩分はかなり抑えめで、黒いスープの色とコクは魚醤をブレンドすることで引き出しています。濃厚な味だけでなく、しっかり旨みを感じられるのが特徴です。
富山では、射水市にある本店と、富山駅前CiC店の2店舗を展開しているほか、神奈川と京都、さらに海外にも店舗を持ち、富山の歴史を物語るブラックラーメンを国内外に広めています。
元格闘家プロデュース! ボリューム満点【ガッツリ!えびすこ】
富山駅前にある「「ガッツリ!えびすこ」は、魚津市出身で“ミスターPRIDE”としても活躍した元総合格闘家 小路晃さんが情熱を注ぐラーメン店。
氷見産の煮干しのスープをベースに、数種類の醤油ダレをブレンドしていて、ニンニク、ブラックペッパーでガツンとインパクトがある見た目と味わい。チャーシューは肉厚でたっぷり。食べ応え抜群です。
味をマイルドにする追加スープがあるほか、甘くふわふわの天かすを絡めていただくと、角がとれたスープに変身。溶き卵でディップすれば、まろやかさとコクが絶妙に重なり合った味わいを楽しめます。平日昼限定で、ラーメン1杯につきライス1杯無料のサービスも。
週末は深夜時まで営業。飲み会帰りの一杯としても人気のよう。
えびすこ
https://ebisuko.jp/
自家製麺&無添加のまろやかスープ【ラーメン一心】
富山駅から約200m、徒歩でも5分とかからない場所にある「ラーメン一心」。
無添加や自家製麺にこだわったラーメン店で、特にあっさりした煮干しだしのラーメンやレアチャーシュー、トロトロの煮玉子には女性客のファンも多い人気店です。
スープの色こそ真っ黒ですが、まろやかな醤油のコクが楽しめる味。
鶏ガラをベースに長ネギや煮干し、サバ節などを煮込んだスープで、かえしとなるタレにはチャーシューの煮汁を使い、さらに数種類の節をブレンドしています。濃厚でありながら素材の旨みが際立つ上品な味わいで、スープを飲み干す客の姿も。
濃厚なうま味とコク「再仕込み醤油」の黒いスープ【ダルマヤラーメン】
屋台を引きながらラーメンを提供していた創業者が大きな体格の持ち主だったことから「ダルマ親父」と呼ばれ、それがそのまま店名となった「ダルマヤラーメン」。
秘伝の醤油ダレを効かせたブラックラーメンは、あっさりめのスープの「元祖」と濃い口スープの「ヤング」の2種類。どちらも屋台でラーメンを販売していたころから続く、店の伝統の味です。
「ヤング」は、長い熟成期間によって濃厚なうま味とコクを出す「再仕込み醤油」を用いた黒いスープ。口に含んだ瞬間のパンチはガツンとありますが、脂の甘さも同時にきわだっているため、不思議と角が尖ったクドさはありません。
スープとの相性抜群の中太のちぢれ麺は、小麦の強い香りと、手もみでしっかりと出したコシが特徴です。
隠し味は昆布⁉ 元焼き肉店の富山ブラック【炭火焼き肉ラーメンこころ】
富山駅から車で約10分の富山市長岡エリアにある「炭火焼き肉ラーメン こころ」。もともとは焼き肉店でしたが、現在はブラックラーメンで人気のラーメン店。
鶏ガラベースのスープのポイントは羅臼昆布。夫婦で試行錯誤して仕上げたという自信作です。色は真っ黒ですがくどさはありません。大きな自家製チャーシューはやわらかく、老若男女問わず楽しめる味わいです。
もちもちとした食感の麺、地元八ケ山の白ネギのバランスも絶妙で、全体的にととのったおいしさを楽しめます。
元焼き肉店だった経験を生かした1杯の「牛スジラーメン」は、ブラックのスープに牛スジの甘みが加わり、より深みを増した味わいに。牛スジもやわらかく、食べ応え抜群です。
炭火焼き肉ラーメン こころ
https://www.knb.ne.jp/nannan/shop/922/
県西部エリア
とんこつベースの新感覚スープ【らぁめん次元】
富山市の戦後復興を支えた労働者のために作られたブラックラーメン。そんな成り立ちから、好まれるのは富山市が中心。実は富山県西部ではあまり馴染みがなく、提供する店は数えるほどしかありません。
その数少ない県西部のブラックラーメンの中でも人気なのが、高岡市にある「らぁめん次元」。とんこつスープをベースに、焦がし醤油とチャーシューの煮込みダレをあわせたスープは、見た目の真っ黒な印象とは裏腹に、まろやかで、ほんのり甘みを感じる味わい。
スープに合わせるのは、特注のちぢれ麺。
水分量が多い多加水麺で、スープを吸いにくく、時間が経ってものびにくいのが特徴。小麦の香りともっちり感を長く味わうことができ、女性や子供、お年寄りなど、食べるのがゆっくりな人でも最後までおいしく食べられます。
県東部エリア
日本一小さな村で愛される”蕎麦だし”ブラック【喜多山】
舟橋村で地域住民に愛される食堂「喜多山(きたやま)」の人気メニュー「ブラックラーメン」。
スープの見た目は、ブラックラーメンの名に恥じないイメージ通りの黒! ですが、実はこのスープ、この色の濃さからは想像できないほどマイルドな口当たりです。というのも、スープに使われているだしは、なんと蕎麦だし! 昆布とかつお節から丁寧にひかれた蕎麦だしを使うことでスープの味に深みとコクをプラスし、塩味は控えめに仕上げています。
店こだわりの麺は、全国の有名ラーメン店にも卸されている東京下町屈指の製麺所、浅草開花楼製。モチモチした食感の麺と味わい深いスープのバランスがたまりません!



