まちなかの桜のつぼみがふくらみはじめ、開花が待ち遠しい季節がやってきました。
富山県内で「さくらの名所」として親しまれる場所はいくつもありますが、県が2011年に選定した名所は70か所。なかでも人気なのが、「日本さくらの名所100選」にも選ばれている富山市の松川べりです。
かつて富山城の天然の外堀として機能した神通川の名残を感じられる風情豊かな場所で、年季がかった築石を間近に遊覧船から花を見上げると一層美しく、見惚れてしまうような桜のトンネルが名物です。
残念ながら2024年1月の能登半島地震で被災し、亀裂した護岸の復旧工事や桜の若木の植樹などを施した上で迎える2回目の春。被災前とは少し変わってしまった松川べりの景色ですが、その時の流れにも想いを巡らせながら楽しめそうです。
日本さくらの名所100選「松川公園」
富山城址公園と県庁の間を流れる松川。かつて蛇行して流れていた神通川の本流で、“浮城”とも言われた富山城の北西を守る天然の外堀、舟運路としても機能していました。
その流れに沿って松が植えられていたから、「松川」。
ですが、太平洋戦争末期の富山大空襲で燃え尽き、その後、まちの復興を祈って桜が植えられたことで県内有数の桜の名所となりました。
空襲からの復興で 市民に愛される桜の名所に
川沿い約2.5kmにわたって植えられているソメイヨシノは、500本以上。
道路沿いの歩道や橋の上などから眺められるほか、川の水面レベルにも遊歩道が設けられ、さまざまな角度から桜を楽しむことができます。
そんな歴史的な経緯や市中心部にある地理的な条件もあって、桜シーズンには多くの富山市民が訪れるほか、日本さくらの会が選定する「さくら名所100選」にも挙げられて海外からも多くの観光客が花見に訪れます。
能登半島地震からの復旧工事は着々と 遊歩道が歩けるように
そんな松川べりですが、2024年1月の能登半島地震によって護岸は約700mにわたって亀裂が入るなどの被害に見舞われ、復旧工事やそれに伴って伐採された桜の木の植樹が行われています。
桜並木のメインストリートとなる安住橋から華明橋にかけての区間、県庁と富山市役所の横にあたる護岸の工事は桜の開花を前に工事作業が終わり、花見シーズンを前に遊歩道の通行止めは解除されています。
被災前と同じ景色を見ることはかないませんが、着々と復旧する松川べりに想いを馳せながら桜の花を楽しむことができそうです。
松川の流れをゆっくり30分かけてめぐる遊覧船
観光客に人気なのが、松川の桜をじっくりと堪能できる遊覧船。
城址公園のわきを流れる松川の上流(西側)の舟橋と下流(東側)のいたち川との合流点の間、片道約1.2kmの距離を約30分かけて往復します。
遊覧船の乗降場となるのは、松川茶屋。
富山駅から徒歩約5分、城址大通り沿いの橋のたもとにあり、城址公園千歳御門そばのまちなか観光案内所や展望塔がある富山市役所のすぐ近くです。
遊覧船は松川茶屋を出発すると、まずは上流の舟橋に向けて進みます。
左手には富山城址。和風庭園に当時の景色などを想起しながら、かつて64艘の船を並べて橋にしたという舟橋の跡を目指します。
遊覧船は舟橋で折り返し、下流のいたち川との合流点へ。
クルーズの見どころのひとつが、松川にかかるいくつもの橋です。
なかでも国の有形文化財に登録されている桜橋は、1935(昭和10)年に完成した橋で、鋼製のきれいなリベット打ちアーチは当時そのままのシルエットを残します。重厚な石造りの親柱、装飾が施された欄干なども美しく、橋の上を走る路面電車の姿にもまた風情が感じられます。
クルーズでは、そんな松川にまつわる歴史なども船頭さんから聞くことができます。
美しい景色の裏側にあるエピソードを学べば、両岸から迫ってくる桜がより味わい深いものになりそうです。
松川遊覧船 スプリングクルーズ
運航期間:3月20日(金・祝)~4月25日(土)
※開花前は、原則として土・日・祝日の限定運航
乗降場:富山城址公園 松川茶屋
問合せ:076-425-8440
松川遊覧船
https://matsukawa-cruise.jp/
松川ライトアップ
期 間:3月25日(水)~4月中旬
時 間:18:00~23:00
区 間:松川橋~桜橋までの1.25km ※一部立ち入り禁止区間あり
城址公園 花見イベント
JOSHI SAKURAWALK2026
開催日:3月27日(金)~4月12日(日)ごろ
時 間:9:00~22:00
会 場:富山城址公園
松川の南側に隣接する富山城址公園では、サクラが見ごろの時期にあわせ、グルメ出店や音楽イベントを開催。メインシンボルの富山城とサクラの共演も見どころのひとつ。城内部は「富山市郷土博物館」になっていて、400年以上にわたる富山城の歴史をふれることもできます。
JOSHI SAKURAWALK2026
https://joshipark.com/event/joshi-sakurawalk2026/
オススメ周辺グルメスポット
花見といえば、きれいな景色と同時においしい食べものも…という方もいるでしょう。松川沿いには個性あふれる食事処やカフェが点在。散策がてら足を運んで楽しんでみては?
※掲載されている情報・価格は取材当時のものです
松川茶屋
遊覧船の乗降場にもなっている「松川茶屋」では、ぜんざいや団子、抹茶などの甘味やパフェ、かき氷などを味わうことができます。昔から「花よりだんご」なんて言いますが、どうせなら「花も、だんごも」楽しんでください。
D&DEPARTMENT TOYAMA
松川を挟んで茶屋の向かいにある県民会館の1階にあるのが、D&DEPARTMENT TOYAMA。ダイニングスペースでは、富山県産の食材を使ったカフェメニューが楽しめます。
映画のロケ地にもなっている店内には開放的な大きな窓から自然光がいっぱい注がれ、目の前には松川の桜がパノラマで広がります。ゆったりと桜の眺めと食事を楽しめそう。
Ruscello
城址大通りより下流、桜橋との間にあるのがイタリアンのカフェ&レストラン「Ruscello(ルシェッロ)」。デンマーク製の高級家具やスピーカーが備わる落ち着いた空間には、フェラーリーやポルシェなどのスーパーカーが。
店の前には、富山と松川の発展を物語る「ガス燈」もあり、川のほとりでロマンあふれるランチやディナーを楽しめます。
鰻の成瀬 富山店
桜の雰囲気に合わせて和の食べものを… という人には、鰻の店を。
遊覧船の折り返し地点となる舟橋の近くに、本格的なうな重をリーズナブルに食べられる「鰻の成瀬」があります。2階建てで1階、2階のどちらかからも窓の外に松川の桜を楽しめます。1階からは見上げる形で、2階からは目の前に花が迫る形で。ふわっと香ばしいうな重と桜の絶景を堪能できます。
自家製麺ふきの葉
2025年11月にオープンしたラーメン店「自家製麺ふきの葉」。名水仕込みの自家製麺はしなやかなコシとツヤが特徴で、平日でも行列ができる人気店です。
店があるのは松川から数分歩いた富山市中心部の繁華街、桜木町の一角。城址公園からも近く、店の前からは城の天守閣を模した富山市郷土博物館の姿が見えます。
ANAクラウンプラザホテル富山
城址公園近くのANAクラウンプラザホテル富山では、5月6日まで「春を彩るスイーツブッフェ」を開催中。
ホテルクオリティのケーキやタルトを満喫できるスイーツビュッフェ。「不思議の国のアリス」をモチーフに、かわいすぎるスイーツが約20種類並びます。味はもちろん見た目もかわいくて、非日常のご褒美感を満喫できます。
このほか、少し散策すればカフェやレストラン、舟橋近くには富山名物のます寿司店も数多くあります。
天気のいい日にはお気に入りのフードやドリンクをテイクアウトして城址公園でピクニック、なんて楽しみ方も気持ちよさそうですね。



