業者は悲鳴 「侵攻」でヘリウムガス不足
エブリィでは「ウクライナ侵攻 いま富山では」と題して、この侵攻による暮らしへの影響を伝えています。
17日は、ヘリウムガスの供給不足についてです。過去20年で最悪と言われる現状に苦しむ人たちのいまを取材しました。
結婚式などのイベント会場で行う風船を使ったバルーンショー。
バルーン・アーティストの長崎順子さん・加藤陽奈雄さんです。
長崎順子さん
「皆さんの笑顔、喜び、想像しながら、一瞬一瞬の笑顔考えながらさせていただいております。すごく幸せな仕事だと思います」
長崎さんは、ロシアのウクライナ侵攻前に行った娘の結婚式でも、会場をたくさんの風船で彩りました。しかし、幸せを届ける、人を笑顔にするエンターテインメントの現場にも、侵攻の影響は色濃くでています。
長崎順子さん
「コロナ禍で売り上げが8割減った時もある。緩やかに戻ってきたかなという矢先、大切な資材が入らない。受注が入っても仕事ができるかわからない状況で。困っていますね」
大切な資材とは、風船をふくらませるために使うヘリウムガスです。ヘリウムガスは利便性が高く、半導体や光ファイバーの製造など、さまざまな用途で使われています。しかし、天然ガスから分離精製・製造されるため、100%を輸入に頼っています。
国内の大手産業ガスメーカーによると、近年、主要産出国の供給量は激減していて、新ルートとして、ロシアからの輸入に期待していましたが、ウクライナ侵攻の影響で、目途が立たなくなりました。
このメーカーの供給量は「過去20年で最悪の状況」にあり、現在、出荷制限を行っています。
「それ以降に関しては、もしかしたらいい方向に行くかも、くらいの感じ。かも。」
風船を浮かばせるためにはヘリウムの代わりがない状況で、先行きは不透明です。取引先にこまめに連絡を取って今後の見通しを確認します。
加藤陽奈雄さん
「アメリカ、カタール、中東あたりの輸入がコロナといくつかの要因で落ちている。(ロシア)ルート期待していた部分あったんだけど、(ウクライナ侵攻で)完全にダメになってしまって、厳しい状況がしばらく続くであろうというお話でした。つらいですよね、業界としてもつらい。うちも当然ながら…。今後どのように打開していこうかと知恵は必要かなと思うんですけど」
苦しい状況のなか、長崎さん・加藤さんは、新しい商品の開発に取り組んでいます。
花束をイメージしたバルーン・アレンジメントです。ヘリウムの代わりに空気を入れるため、飛ばすことはできませんが、これを現状打破への一手にしたいと考えています。
加藤陽奈雄さん
「衣食住にはあてはまらないけど、気持ちが前向きになれるとか、明るい気持ちで前に進めるとか、お役に立てるのではないかと思っています」