連日の猛暑で、冷たいドリンクやアイスが手放せない毎日ですね。気温が30℃を超えると一気に恋しくなると言われているのが、かき氷。ひんやり心地よい口どけ、そして渇いたからだにしみ込むさっぱりとした甘みは、暑い日にはたまらないごちそうです。
今回は、創業70年を超える老舗和菓子店が伝統の技を注ぎ込んでつくり上げる「至極の和風かき氷」を紹介します。
1949年創業 3代にわたり技を受け継ぐ「松木菓子舗」
訪れたのは、氷見市鞍川エリアに店を構える「松木菓子舗」。
市役所や市民病院、商業施設が集まる街の中心部ですが、緑豊かな「ふれあいの森」にも近く、のどかな里山の風景もすぐそばに感じられるロケーションです。
創業は1949(昭和24)年。地域に寄り添う和菓子店として、三世代にわたり70年以上の温かな歴史を刻んできました。
店先には、かわいらしいかき氷のチョークアート看板。その隣には強い日差しを遮る日よけ付きのベンチが用意されています。
「夏の風を感じながらかき氷を味わってもらおうと設置したベンチなんですが、ここ最近の暑さはあまりにも厳しくて。涼しい空間でゆっくり味わっていただけるよう、今年から店内でもお召し上がりいただけるようにしました」
笑顔で教えてくれたのは、3代目店主の松木功太さんです。
イートインスペースを新設
木の温もりを感じるナチュラルで清潔感あふれる佇まい。ショーケースには、ひとつひとつ丁寧に作られた自慢の和菓子が並びます。
その前に用意されたイートインスペースのテーブル席は、ゆったりと落ち着ける広さ。椅子に腰をかけると、まるで親しい人の家に招かれたかのような、ホッとする安心感に包まれます。
和菓子職人が追求した究極のハーモニー「定番3種」
創業70年を超える和菓子店が、職人の技を注ぎ込んでつくり上げる「至極の和テイストかき氷」は全部で3種類。なかでも、あんこ好きなら絶対に味わってほしいのが「こしあん白玉」です。
こしあん白玉
かき氷の上にとろりとかかっているのは、松木さんが丹精込めて炊き上げた特製の自家製こしあんです。
「こしあんの質感がやわらかすぎると下に落ちてしまいますし、逆に重すぎると氷のふわふわ感をつぶしてしまう。氷とのベストなバランスを見極めるのには本当に苦労しました」と、松木さんは振り返ります。
そんな試行錯誤の末に完成した「こしあん白玉」。
スプーンですくい口へと運ぶと、そのなめらかさに驚かされます。寒天でほのかにとろみをつけたこしあんは、見た目以上に繊細な舌触り。氷と分離することなく絶妙に寄り添い、口の中で一体となってすっと溶けていきます。
「使っているのは、北海道十勝産の朱鞠(しゅまり)という品種の小豆。こしあんに仕上げたときに、非常に豊かなコクと深い味わいが引き立つんです」(松木さん)
氷は純度の高い物を金沢から仕入れているそう。できるだけ薄く、くちどけのよいふわふわ食感になるよう丁寧に削り出しています。
その氷には、北海道産の甜菜(てんさい)糖で仕上げた自家製白蜜がたっぷりとしみ込んでいて、体にスーッとなじむような雑味のない甘さ。夏の暑さをひととき忘れさせてくれる、格別のおいしさです。
トッピングの白玉にも一切の妥協はありません。
「やっぱり出来立てのぷりぷりとした食感が一番おいしいので、毎朝手作りしています」と松木さんが話す通り、もちもちとした弾力と、しっとりなめらかな喉ごしが楽しめます。
期間限定の「濃茶ティラミス」
さらに、その時期にしか出会えない期間限定メニューも見逃せません。
こちらは見た目にも鮮やかな「濃茶(こいちゃ)ティラミス」。深い緑の抹茶ソースに、まるで雪が降り積もったかのようなソースの白が美しく映え、思わず写真に収めたくなるビジュアルです。
「濃茶シロップは、香り高い濃茶を点てて、そこに北海道産の甜菜糖を加えて作っています。深みのある上品な香りを楽しんでもらえると思います」(松木さん)
抹茶ソースがしみ込んだ氷の上には、マスカルポーネとクリームチーズをブレンドしたこだわりのティラミスクリームが贅沢にとろり。
赤が映える甘酸っぱいフランボワーズに、香ばしい食感のグラノーラ、そして仕上げの抹茶パウダーがあしらわれています。
ひとくち食べると、上品でふくよかな抹茶の香りがふわりと漂い、ティラミスクリームのほどよい酸味とコクが口の中で優しくとろけていきます。
食べ進めると、氷の中にもティラミスクリームがたっぷり。
別添えの”追い濃茶ソース”を好みのタイミングでかけながら、自分だけの濃密な時間を楽しめます。
「かき氷は、移ろう四季を大切に表現する和菓子の精神にもどこか通じるものがあって、季節の上生菓子を手がけるような感覚で作らせてもらっています」(松木さん)
まるで冷たい上生菓子をいただくかのような、五感で楽しむ至極の一杯。その贅沢な味わいと美しさが、心地よい涼を運んできてくれそうです。



