庄川と小矢部川、2つの川の河口に挟まれた小さなまち、射水市庄西町。かつての港町としての歴史が息づく地域です。現在は工場群が立ち並んでいますが、その並びを抜けると静かな住宅街が広がっています。
その一角に店を構える「アトリエ菓子工房ラグリシーヌ」は、季節のフルーツを味わうタルトや体にやさしい焼き菓子が魅力のお菓子屋さん。このお店を目当てに庄西町に足を運ぶ人が絶えないという人気店です。
目印はブルーのキッチンカー
静かな住宅街の一角、ペールブルーのキッチンカーがお店の目印です。
店主の高藤さんいわく、愛嬌のあるレトロな姿に「フランスのシトロエンに似てる~!」と一目惚れ。お店のシンボルとして自分の手で改装したそう。
キッチンカーではありますが、実は滅多に動くことはありません。“動かない”キッチンカーとして、この場所でお菓子を販売しています。
宝石のように色鮮やかなフルーツタルト
中を覗いてみると、思わず感嘆の声が漏れ出てしまうほど美しいフルーツタルトが並んでいます。
季節によってフルーツが変わるタルトは多い時で9種類ほどあるのだそう。他にもプリンや夏限定のゼリー、焼菓子などもずらり。
初夏のオススメ「メロンタルト」
初夏のオススメは、旬のメロンがたっぷりのった贅沢な「メロンタルト」。
表面のナパージュ(ゼリー)が光を反射して、キラキラとまるで宝石を散りばめたような美しさです。
仕入れたメロンの完熟具合を確認しながら、その日1番おいしい種類のものを使っているそう。
口に運ぶと、メロンが驚くほどジューシー! じゅわ~っと濃厚で上品な甘い果汁が口いっぱいに広がります。
しっかりと甘いメロンの風味を引き立てるため、土台はスポンジとカスタードでシンプルに。お店自慢のタルト生地は“固すぎず柔らかすぎず”がポイントで、フォークがスッと心地よく入る絶妙な加減です。
フルーツとタルトがお互いを邪魔することなく、同時にすーっと溶けて一体になる感覚…。しっかりとボリュームがあるのに、重さは一切なくペロリと食べられます。
ラズベリーがアクセント「桃のタルト」
見た目にも華やかな「桃のタルト」は夏の定番商品。ほんのりピンク色に色づいたみずみずしい桃が、こぼれそうなほどにたっぷり。どこか上品な雰囲気が漂う1品です。
一口食べると、口の中が桃の芳醇な香りでいっぱいに。うっとりするような贅沢感を楽しめます。
毎年人気の「桃のタルト」ですが、2026年からはアクセントにラズベリーのジャムを加えたそう。甘酸っぱい風味が桃のやさしい甘さを引き立てるとともに、味がピシッと引き締まるようで、最後の一口までずっと新鮮な感動を味わえます。
定番の組み合わせ「チョコバナナタルト」
「チョコバナナタルト」はオープン当初から大人気の1品。このタルトに惚れ込んで何度も足を運ぶファンもいるというほどの、お店の看板商品です。
ココアをふんだんに使ったしっとりスポンジと完熟バナナの組み合わせ。アクセントにチョコチップものっていて、どこかクラシカルで特別な存在感があります。
プリンや焼き菓子も味わって
地元への思いを込めた「庄西プリン」
「地域の方に愛されるように」との思いで庄西町の名前を冠した「庄西プリン」。
濃厚な卵黄を使っていて、たまごの豊かな風味とまろやかなコクがやさしく広がります。口当たりはなめらかなのに、しっかりと素材の質感が残る絶妙な食感です。
手土産にもぴったり 豊富な焼菓子
アーモンドをたっぷり使った「アマンディーヌタルト」など、焼菓子も数多く並びます。週末限定で登場する「エッグタルト」もファンが多い人気商品なんだそう。
タルトを目当てに店に行った人も、ショーケースの横に並ぶ焼菓子が目に入ると、あれもこれも…と思わず追加で注文しちゃいそう。
「体にやさしい」ことを大切に…店主の経験が生きるお店
店名の「ラグリシーヌ」はフランス語で「藤の花」を意味する言葉。店主の高藤さんの名前が由来です。
高藤さんは、実は変わった経歴の持ち主。高校を卒業後、大阪の専門学校でお菓子づくりを学び、兵庫の「ケーキハウスショウタニ」で修業。その後、別の仕事をしながらなんと看護師の資格を取得したそう。コロナ禍で「もう一度ケーキを作りたい」と思い、働いていた病院をやめて「ラグリシーヌ」をオープンしました。
看護師の経験から“体にやさしい”ことを大切にしていて、タルトは生地から手作り。添加物や保存料は使っていません。予約をすると卵や乳製品を使わない玄米クッキーも作ってもらえます。
庭でイートイン可能 ワンちゃんもOK
キラキラと美しいフルーツタルト。家に帰るまで待ちきれない!という人は、お店の前の庭のスペースで食べることもできます。
海辺ののんびりした雰囲気の中、心地よい風を感じながら食べるスイーツはおいしさが何倍にも跳ね上がります。ちょっとしたピクニック気分で楽しめて、写真映えもばっちり。
仕事をしながら看護師の資格を取得。現在は何種類ものフルーツタルトや焼菓子を作る日々…。そのバイタリティはどこから?と尋ねると、「好きなんです」とにっこり笑顔で答える高藤さん。
高藤さんが心から楽しんで愛を込めて作ったスイーツには、ポジティブなエネルギーがたっぷり詰まっているようです。
藤の花言葉は「優しさ」や「歓迎」。その言葉の通り、高藤さんのやさしい笑顔と宝石のように美しいスイーツが出迎えてくれる「ラグリシーヌ」。食べる人の心と体にそっと寄り添う逸品と温かい人柄に、一度訪れたら誰もが虜(とりこ)になるはずです。



