おばあちゃんの家で食べるような、素朴で滋味深いごはんが食べたい…そんな日ってありませんか?
高岡市のカフェ「さまのこ屋」は、そんな願いを満たしてくれる店のひとつ。歴史を感じる町家でゆっくりくつろぎながら、旬の食材をふんだんに使ったランチを味わえます。
地元を愛し、歴史を未来へつなぎたいと願う店主の人柄も温かく、つい長居したくなるほど居心地の良いお店です。
歴史と風情あるまちの町屋カフェ
小矢部川と庄川に挟まれた河口部に位置する高岡市吉久(よしひさ)地区。
水運の便が良く、江戸期には、加賀藩の年貢米を保管する米蔵「御蔵(おくら)」が置かれ、米の交易で栄えた町です。緩やかに湾曲した街道「放生津往来」には、千本格子(さまのこ)造りの家々が軒を連ねていて、2020年、重要伝統的建造物群保存地区に指定されました。
「私はこの町に嫁いできたんですが、この風情ある街並みが大好きで」と、あふれんばかりの笑顔で教えてくれたのは、さまのこ屋の店主 草島陽子さん。夫の誠一さんとともに、まちの歴史を守り、後世に受け継ぐ活動を続けています。
解体の危機にあった町家を買い取り、店を始めたのが2008年ごろのこと。
陽子さんが以前から抱いていた「飲食業に携わりたい」という夢と、「吉久の家並みを守りたい」という熱い想いが重なり、「放生津往来 さまのこ屋」は誕生しました。
築140年超のやかな空間
入り口の戸を引くと、ガラガラと懐かしい音が響き渡ります。
中央に囲炉裏を切った板の間の空間が広がり、おばあちゃんの家を訪ねたときのような、おだやかでノスタルジックな雰囲気に包まれます。
正座は苦手という人もご安心を。
畳敷きの和室にはテーブルと肘掛け椅子が配置されています。障子戸から差し込む光はやわらかく、いつものランチやスイーツタイムを特別な時間に変えてくれそうです。
1881(明治14)年に建てられたという町家。140年を超える歴史と、人々の温かな営みの気配が感じられます。
旬の食材たっぷり! 1000円ランチ
さまのこ屋で味わえるランチは、旬の食材をふんだんに使ったもの。草島さん手製のおむずびとおかずが並びます。
この品数で1000円というから驚きです。
黒米入りの焼きおむすびは香ばしく、噛むほどに甘みが広がるおいしさ。
ほどよい苦みの佃煮は、白米おむすびとの相性が抜群でどんどん食べ進めてしまいます。
「地元の旬の食材がいっぱい入ってます。今日は、やつがしらや春の山菜ですね」(草島さん)
訪れた日は、ワラビやタケノコなど春の食材をふんだんに使った煮物や酢の物が並んでいました。どれも食材のおいしさを存分に生かした味付けで、季節の息吹を五感で楽しめる味わいに、心も身体もほっとします。
「小鉢や茶碗などの陶器は、私たち夫婦が焼いたものでお出ししてます。とにかくみなさんに喜んでもらえたら何よりです」(草島さん)
ランチは1日限定15食。早々に売り切れてしまうことが多く、もう少し数を増やせないのかとたずねてみると…
「ランチを食べたあとも、ここでゆっくりしていってほしいですから。席も少ないので15食が限界なんです」(草島さん)
居心地のいい空間で身体がよろこぶ食事を楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごしてほしいーーお客さんへの想いが詰まった数量限定ランチ。早めの電話予約がオススメです。
セットドリンクは一服ずつ点ててくれる抹茶orコーヒー
ランチには食後のドリンクもついていて、草島さんがハンドドリップで入れるコーヒーか、一服ずつ点ててくれる抹茶を選ぶことができます。
ドリンクのお供には、甘さ控えめでふわふわとした食感のシフォンケーキが人気。なんと100円で味わうことができます。
「私の手作りですから、材料費さえもらえれば十分なんです。100円なら気軽に足を運んでもらえるかなと思って」と、草島さん。
ギャラリー展示やマンスリーライブ開催も
吉久をたくさん人が集う場所にしたいと、ギャラリー展示や、マンスリーライブも開催しています。
「空き家もあるので、吉久が好きな人に移り住んでもらえらたうれしいですね」(草島さん)
ふるさとの歴史や風景を愛し、次の世代に受け継ぎたいと願う草島さん。さまのこ(千本格子)の向こうに流れる、どこか懐かしく、あたたかい空間が心地よい町屋カフェです。



