まちのパン屋さんといえば、トレイを片手に好きなパンを自分で取っていくスタイルが一般的。おいしそうなパンを前にすると、あれもこれもとつい欲張っちゃいますよね。
ですが、今回紹介するのは、ケーキ屋さんのようにショーケースの中からお気に入りを選ぶベーカリーです。
ずらりと並ぶのは、自家製のあんこやクリームを使ったものから、アレルギーに配慮した乳製品・油脂不使用のパンまで様々。どれも店主のこだわりがたっぷり詰まっています。
開業20年 まちに寄り添うパン屋さん
あいの風とやま鉄道 中滑川駅から南に約1キロメートル。飲食店や商業施設が立ち並ぶ幹線道路からも近い滑川市上島エリアに店を構える「Backerei KURAMOTO(ベッカライ クラモト)」が今回訪れたお店。
“ベッカライ”はドイツ語でパン屋・パン工場という意味なんだそう。
真っ白な塗り壁に、テラコッタ調の素朴な瓦屋根は愛らしく、おとぎ話にでも出てきそうな外観。扉の向こうへの期待感も自然と高まります。
「パンをいい状態で」会話も楽しめる対面式の販売
店内に入ると、黒いアンティーク調のショーケースが目に飛び込んできます。
自分の好きなパンをトングでトレイに乗せていくスタイルではなく、ケーキ屋さんのように対面で注文する形式。なんだか、映画「魔女の宅急便」に出てくるパン屋さんのよう。
「大切に焼き上げたパンをいい状態でお客様に直接お渡ししたいという想いから対面式にしました」と話すのは、オーナーでパン職人の倉本瑞子さん。やさしいおだかやな口調で教えてくれました。
「対面だと、パンの説明もできますし、お客さんとの会話も楽しめるので良かったなと思います」(倉本さん)
パンは約40種類 油脂・乳製品不使用のものも
毎朝4時過ぎから始まるパン作り。7時の開店と同時に、小麦の香ばしい香りが客を出迎えます。
バゲットや食パン、デニッシュなど店頭に並ぶパンは約40種類。なかには、油脂や乳製品不使用のパンもラインナップされています。
「私の母は料理教室の先生だったんですが、いつも家族のために料理を作り続けてくれた母のように『家族に食べさせたい』と思えるおいしいパン、安心して食べられるパン作りを心掛けています」(倉本さん)
白文字で丁寧に書かれた説明書きは、倉本さんからお客さんへの手紙のよう。「オープン当初からの変わらない味です」といった一言にも20年の営みを想像して、なんだかあったかい気持ちになります。
感動のサクサク食感! 一番人気「クローネ」
看板メニューは「クローネ」。なんと、注文を受けてから自家製カスタードをたっぷり注入してくれるというメニューです。
大きな口を開けてかぶりつくと、サクッ!という音が辺りに響きわたるほどサックサク。パイ生地が何層にも重なった軽い食感で、小麦やバターの香りがふわっと広がります。
カスタードクリームは甘さ控えめで、パイ生地との相性も抜群です。
「毎日食べても飽きないクリームを目指して作ってます。添加物も入っていませんので、安心して食べてもらえるかと思います」(倉本さん)
甘さ控えめの自家製あんこ
クローネに負けず劣らず人気なのが、あんバターフランス。
あんこも自家製で、毎日お店を閉めた後にたき始めるのだそう。小麦の香りとバターの塩味、小豆のほのかな甘さをバランスよく楽しめます。
サンドウィッチや焼き菓子、プリンなどもラインナップ
店頭にはサンドウィッチや焼き菓子、プリンなども並んでいますが、すべて倉本さん一人で切り盛りしています。
「このパンはあのお客さんが好きだったな…と思いながら作っていると、いつの間にか種類が増えちゃって…」と苦笑いの倉本さん。
お客さんの顔を思い浮かべながら、手間暇を惜しむことなく丁寧に作られたパンやスイーツ。店主との会話も楽しみたいと思う、やさしい雰囲気のパン屋さんです。



