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高さ10m超! 【雪の大谷のヒミツ】世界でも希少な“雪の壁”はどうやって作る?

立山町
Lifestyle

富山が世界に誇る絶景!
道の両側に雪の壁がそそり立つ「雪の大谷」

高さ10メートル超の雪の壁がそそり立つ「雪の大谷」は富山が世界に誇る絶景。春にしか体験できない迫力と美しさを求めて、国内外から多くの観光客が訪れます。

そんな大迫力の壁。どうやって作られているのか知っていますか?

 

「10メートル以上積もった雪を掘り進めて、まっすぐな壁を作る」

 

冷静に考えると、気が遠くなりそうな作業…。それを叶えるのは、最先端の機器と、何十年と続く伝統的な手法、そして職人の神技なんです。

雪の大谷 2026年は12メートル

3000m級の山々が連なる北アルプス。その山中を貫いて富山県と長野県を結ぶ立山黒部アルペンルートが、2026年は4月15日に全線開通。この時期の見どころは、なんと言っても「雪の大谷」です。

 

世界でも有数の豪雪地帯と言われる室堂平のなかでも、標高2390mの大谷付近は吹き溜まりになっているため、アルペンルートの中でもっとも積雪量が多い場所となります。

 

2026年の高さは12m。なんと4階建てのビルに相当します。垂直に切り拓かれた雪中をギリギリですれ違う観光バスの緊張感や、実際に歩いて眺められることも魅力で、間近で見る雪の壁は圧倒的な迫力と美しさを感じさせます。

過去30年の壁の高さベスト5

毎年、雪の大谷の壁の高さを計測している富山県道路公社に、記録が残っている約30年分の高さをたずねてみました。

 

その結果、最も高かったのは…2000(平成12)年の20m。6~7階建ての建物の高さに相当します。

その年の4月20日、全線開通初日に撮影した雪の大谷がこちらです。

2000年4月20日撮影
2000年4月20日撮影

伝わるでしょうか、この高さ!

雪の大谷と言えば下から見上げるアングルの写真をよく見かけますが、上からの目線はまた違った迫力を感じませんか? 壁のそばを歩いている人たちが米粒のようです。なにせ高さ20m、人間の身長の10倍以上。

上で撮影しているカメラマンも、仕事とはいえ命懸けです。

歴代ランキングは、高さ19m(2006年、2015年、2017年 同率2位)、高さ18.5m(1996年)と続きます。

 

ちなみに30年間の平均は16mだそう。

20mに迫る雪壁はそうそう現れませんが、チャンスがあればぜひ間近で圧倒的な迫力を体験してみたいですね。

どうやって作るの?

ここからが本題です。

高さ10~20mもある雪の大谷は、どうやって作られるのでしょうか。

 

もちろん除雪車で掘り進めていくのですが、10m超をいっきに削り取れる重機などあるはずもなく、地道に時間をかけての作業となります。

除雪の量を考えると気が遠くなりますが、垂直に削り取られた美しい壁は、熟練の職人たちの技とこだわりによるものなのです。

大雪原の中からどうやって道路を見つけるの?

標高2450mの立山 室堂
標高2450mの立山 室堂

上の写真は除雪開始前、3月の室堂ターミナル。

平野部での積雪はほとんどない時期ですが、標高2450mの室堂ではターミナルの建物がすっぽりと雪に覆われています。

もちろん辺り一面、銀世界。高原バスのルートとなる道路がどこにあるかなんて、わかるはずもありません。

 

この大雪原の中から、どうやって道路の場所を探し、除雪するのでしょうか?

 

答えは…GPS!!

と思った人、半分正解で半分ハズレです。

 

実は、現在でこそGPSが導入され、道路の位置を把握するのに役立てられています。

ですが、雪の大谷は何十年も前から作られてきました。昔は「あるもの」だけを頼りに除雪が進められていたそうで、GPSが導入された今でも、それとGPSとを併用しているんです。

 

その「あるもの」とは…

雪原から飛び出している“棒”です。

 

これは竹や丸太でできたポール。道路の位置や幅の目印とするため、雪が降り積もる前の9月頃から道路沿いに立てられます。

画像提供:富山県道路公社
画像提供:富山県道路公社

高原バスのルートとなる美女平(標高977m)から室堂までの23kmにわたって立てられるポールの数は、竹と丸太を合わせるとなんと2400本(2026年現在)

 

標高の低いところには長さ3.5mの竹製のポールが、標高の高い場所には9mの丸太製ポールが立てられ、それを目印に除雪作業が行われます。

画像提供:富山県道路公社
画像提供:富山県道路公社

GPSが導入された今でも除雪作業はポールが目安

除雪の労力もさることながら、2400本もの竹や丸太を積雪前に立て終え、除雪が終われば引き抜くというのもなかなかの重労働。

GPSが導入されるようになった現在でも続けられるのはなぜでしょうか?

それは「GPSを使うよりも時間がかからない」から!

 

標高差およそ1500m、全長23kmの曲がりくねった道路を重機を使って除雪する作業は、私たちの想像をはるかに超える高い技術が求められます。

そのため、作業にあたるのは、立山の自然の厳しさを知り尽くし、長年の経験と技術を培った職人とも言える技術者たち。

しっかり培った経験と技術があるからこそ、道路の両サイドに立てた丸太を目安にしながら除雪したほうが、GPSを頼るよりもかなりの時間を短縮できるとのこと。

納得、というよりも、驚いてしまいますね。

1ミリメートルにこだわる雪の大谷の除雪隊

と、ここまで読んでこられた方、ちょっと不思議な点があったことにお気づきですか?

 

除雪の目印として立てられる丸太は、長いものでも9m。

一方、最近30年間の雪の大谷の高さは平均で16m。

 

ということは……あれ、埋まってしまいますね。

そうなんです、アルペンルートの中でもっとも積雪が多い雪の大谷付近では、目印となる丸太も完全に雪の中に埋まってしまうのです。

 

では、どうやって除雪していくのでしょうか?

その答えは、高い技術力。除雪作業に取り掛かる前に、雪の上に新たな目印ポールを立てて測量を行い、綿密にルートを割り出すのです。

およそ500mにわたる雪の大谷の入口や出口などに合計4本の丸太を立て、それを目安に測量を行います。寸分の狂いも許されない、精密な測量でルートを探し出します。

そして雪を上から掘っていき、地面に立ててあったポールの場所を確認しながら除雪を進めます。

当然ながら、もっとも雪深い大谷は除雪の難所。除雪できるのは、作業員の中でも特に経験豊富で高度な技を持っている技術者に限られてきました。

 

1998(平成10)年にGPSが導入されてからは、測量とGPSの両方を駆使して今まで以上の精度でルートを割り出しています。

それでも、大谷の除雪に携わることができるのは選ばれた“職人”のみに限られます。美しい雪壁を作り上げて観光客に少しでも喜んでもらおうと、1ミリにこだわる職人の技と志は今も昔も変わりません。

©立山黒部アルペンルート
©立山黒部アルペンルート

立山の大自然で世界中の旅行客を魅了する絶景、それを影で支える除雪作業員たち。

立山黒部アルペンルートを観光する際には、ぜひその職人技と心意気に想いを馳せてみてください。

動画で解説:「雪の大谷」の作り方

出典:KNBテレビ

   2005年1月3日放送 

記事編集:nan-nan編集部

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nan-nan編集部

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