受験や試合、勝負事など、ここぞ!というときには、縁起のいいものからパワーをもらいたくなりますよね。
「勝つ」にかけてカツオ、「粘り強い」でオクラや納豆、「見通しがいい」でレンコン。相撲部屋のちゃんこ鍋に鶏肉が使われるのも、「手をつかない」縁起物だからと言われます。
そんなゲン担ぎグルメで、誰もが真っ先に思い浮かべるのがトンカツ。
「勝つ」がかかる名前はもちろん、食べごたえがあってスタミナも抜群! 大事な勝負の前にトンカツやカツ丼、カツカレーを食べる人も多いのでは?
今回はそんなゲン担ぎが実って、カツ丼ならぬ「勝つ丼」が正式メニューになった富山県高岡市の老舗定食店を紹介します。
福岡駅前で114年! 世代を超えて愛される老舗「中藤」
富山を東西に横断する国道8号を高岡から小矢部に向かって進むと、福岡駅前ロータリーへの入り口、末広町交差点そばにマットブラックの壁がモダンな1軒の食事処が見えてきます。
「お食事処 中藤(なかとう)」です。
創業は1911(明治44)年。1世紀以上にわたって愛され続ける老舗店で、地元の人たちや駅を利用する学生など、多くの客でにぎわいます。
移転でリニューアル モダンで落ち着いた店内
店の歴史は長いですが、和風の建物も内装も新しく、モダンな雰囲気。
もとは駅の目の前にありましたが、5年前に国道側に少し移動してリニューアルオープンしました。広々とした空間にカウンター席とテーブル、そして小上がり席が設けられていて、小さな子供連れでも安心して利用できます。
店名の「中藤」は、現在の4代目店主・中島秀恭さんの曽祖父にあたる中島藤吉さんの名前から「中」と「藤」の2文字をとって名づけられたものなんだそう。
分家したことから「支店」を付けた「中藤支店」の文字に店の長い歴史が感じられます。
店の1番人気! カツ丼、ならぬ「勝つ丼」
数多くある「中藤」のメニューの中で、1番人気なのがカツ丼ならぬ「勝つ丼」。
メニュー表にも記載された、これが正式なメニュー名です。
カツに使用するのは、旨みが強い豚の肩ロース肉。
カラッとあがった衣が甘いダシと油を吸って、噛むとジュワ~ッとしみ出します。肉の脂と半熟の卵、玉ねぎの甘み、すべてが絡み合って一気に押し寄せる満足感は、まさに丼ならでは。トンカツ定食では味わえない醍醐味です。
肉と衣の一体感 秘密は「バッター粉」
トンカツの断面を見てみると、肉と衣がしっかり密着しているのがわかります。
これが、食べたときの肉と衣の一体感の秘密。
小麦粉と卵を混ぜたつなぎの「バッター粉」をあらかじめ肉にまとわせることで、衣と一体感を生み出し、肉の旨みを逃さずに閉じ込めます。これが、おいしいトンカツに仕上げる大切なポイントなんだとか。
秀恭さんのお母さんの代から伝わる調理法を今も変えずに受け継いでいます。
「勝つ丼」の由来は 甲子園の夢をかなえた地元高校球児たち
それにしてもこの「勝つ丼」、なぜ正式名称がカツ丼ではないのかというと、実は地元の福岡高校と深いつながりがーー。
まだ店が今の場所に移転する前の2006年、福岡駅を使って通学する生徒も多くいる福岡高校が夏の甲子園、第88回全国高等学校野球選手権大会に出場しました。夢をかなえた当時の選手たちが「中藤」を訪れ、ゲン担ぎによく注文していたのがカツ丼やカツカレーだったんだとか。
その姿を見ていた秀恭さんは、移転リニューアルを機にメニューの表記も「勝つ丼」に変更。おなかを満たすだけでなく、縁起のいい名前で頑張る人の背中を後押しする名物メニューに生まれ変わったのです。
以来、ますます「勝つ丼」は愛される存在となって、店を訪れる多くの客が注文していきます。
先代の味を受け継ぐ 昔ながらの無水カレー
店のもうひとつの人気メニューがカレーライスです。
水はほとんど使わず、野菜の水分だけで作る無水カレー。そのぶん、野菜のうまみがギュっと凝縮されていて、やさしい甘みも感じられます。
レシピは秀恭さんの先代の店主となる父から受け継いだもの。
何度か「もっとおいしくしよう」と自分なりに試行錯誤してみたものの、結局、このレシピにはかなわないのだとか。
「実は亡くなった親父に習った通りにやっていて… まぁ反骨心というか、なんとかもっとおいしくならないかとやってみたんだけど、何をいろいろやってもここに戻ってしまう(笑)。やっぱり親父のやり方が一番おいしいのかな、と」(秀恭さん)
1世紀以上の歴史ある店で食べられる“変わらない味”。
ほっと安心できる“変わらない”の裏には、人知れず重ねられた工夫や想いもあるようです。
現店主が考案 新しくラインナップに加わったギョウザ
現店主の秀恭さんが考案したメニューもあります。
それが、日本人が大好きな焼きギョウザ。
もちっとした皮の食感がよく、焼き目はパリッと。噛むと中から肉汁が溢れます。
手間暇を惜しまず、鉄板で一つひとつ丁寧に手焼きする方法にこだわり、ごはんのお供にもおつまみにもピッタリの1品です。
実は秀恭さんはもともと中華料理店で修業を積んだ経験があるんだとか。
というわけで、ギョウザのほかにエビチリや唐揚げなどのメニューも人気なんだそう。
受け継がれる味と新しい味。
ゲン担ぎの「勝つ丼」と合わせて、人のあたたかさでおなかと心を満たしてくれそうです。
出典:KNBテレビ「いっちゃんKNB」
2026年1月13日放送
記事編集:nan-nan編集部



