2025年11月、富山市の住宅街に生米を使ったパン屋さんがオープンしました。
その名も 「生米パンjam(ジャム)」。
「生米パン?」と、馴染みのない言葉に思わず聞き返したくなる人も多いのでは。
生米パンは、米粉パンとは似て非なるもの。
小麦粉も米粉も使わずに、一般的な食用のお米から作るパンなんだそう。しかも「jam」では乳製品や卵も一切使っていません。アレルギーがある人でも安心して食べられます。
一体、どんな味わいなんでしょう。
疾病予防の運動施設の一角にできた生米パンの店
店があるのは、富山市の中心市街地を少し外れた長柄町。
西田地方小学校近くの住宅街にある“疾病予防と癒し”をコンセプトにした健康体操施設「スタジオTOMOE(共笑)」の中です。
“疾病予防と癒し”の運動施設「スタジオTOMOE(共笑)」
「TOMOE」は病院や介護施設で運動指導や講師を務めてきたトレーナーが経営するフィットネススタジオ。体操教室やパーソナルトレーニング、ストレッチなどを指導しています。
といっても、ボディビルやボディメイクなどの本格的なジムではなく、どちらかといえば毎日の健康づくりや生活習慣の改善のサポートを主眼にしたもの。楽しく無理のない健康づくりがモットーです。
入り口がわからない!? 知る人ぞ知る隠れ家的パン屋さん
そんな「TOMOE」の中にあるのですが、スタジオの正面にはそれらしき看板や表示はありません。
「入口は正面向かって右側です」と聞いて探してみると……
ありました!
元は勝手口だったという場所が入り口。まさに、知る人ぞ知る隠れ家的なパン屋さんです。
看板犬のjamが出迎えてくれる アットホームな空間
靴を脱いで中に入ると、ふわっと広がるパンの甘い香り…
と同時に、「ワンワンワン!」と元気な鳴き声で1頭の犬が近づいてきました。
「犬は大丈夫ですか? この子はjam(ジャム)っていうんです。お客さんが来られるとよろこんで“いらっしゃいませ”って吠えるんです」
愛犬のjamと一緒に笑顔で迎えてくれたのが、店主の古川香澄さんです。
木をふんだんに使ったあたたかみのある店内にはカウンターとテーブル席があり、イートインもOK。まるで誰かの家に遊びに来たような、アットホームな空間が広がっています。
富山ではここだけ!? 生のお米を使った「生米パン」
そんな「jam」の最大の特徴が、店名にも掲げられた「生米パン」。
カウンター横の棚にずらりと並びますが、11時半の開店と同時に次々に買われていき、あっという間に完売してしまうほどの人気ぶりです。
「富山で、生米パンを販売しているところは、もしかしたらうちだけ? 珍しいと思います」(古川さん)
「生米パン」に使うのは、粉状に加工された「米粉」ではなく「生米」。いわゆる普通のごはんを炊く前の、一般的な精米されたお米です。
「jam」で使用するのは、ササニシキ。粘りが強い富山のコシヒカリよりもパンに向いているんだとか。
作り方も単純です。
普通に炊いて食べられるササニシキの生米を水に浸し、そのままミキサーにかけて生地にしていきます。生米から生地を作ることで、米粉よりも米本来の食感や食味が残り、もっちりとした風味も長続きするんだそう。
「生米パンは、お米本来の甘みとおいしさを存分に楽しむことができますし、ふわふわでしっとり感が長く続くんです。翌日でも固くならないんですよ」(古川さん)
実際に食べてみると、もちもちとした噛みごたえがあって、パンなのにごはんような不思議な味わいです。何もつけてないのに、そのままいくらでも食べれちゃう… 白いつやつやごはんを食べるときのようなほっとした感じやお米の自然な甘みもじんわりと広がるおいしさです。
牛乳の代わりに豆乳、甘みは甜菜糖・メープルシロップ・甘酒などで
「小麦粉も卵も乳製品も使っていないので、アレルギーで悩んでる方やグルテンフリー志向の方も安心して召し上がっていただけます」(古川さん)
牛乳の代わりに豆乳を使い、甜菜糖やメープルシロップで甘みをつけた生米パン。日によってラインナップは変わりますが、店頭には毎日10種類ほど並びます。
「あんパンには甘酒を使っています。最初は『甘さがもの足りない』というお客さんも、慣れてくると『自然の甘みがクセになる』っておっしゃってくださいますね」(古川さん)
メロンパンやチョコバナナマフィンも小麦粉・卵・乳製品フリー
メロンパンやチョコバナナマフィンなどの菓子パンやエピのような惣菜パンもありますが、やはりどれも小麦粉や卵、乳製品は不使用です。
「チョコレートの代わりは豆乳クリームにココアパウダーを入れたもの。もち米、豆乳、オリーブオイルを使って“チーズのような味わい”を楽しんでもらっています」(古川さん)
生米パンを始めたきっかけは…
もともとパンが好きだったという古川さん。でも、「生米パン」を作り始めたのにはあるきっかけがありました。
「私も夫もパンが大好きなんですが、夫が40代で小麦アレルギーを発症して、パンが食べられなくなってしまったんです。家族みんなが食べられるパンはないかと探していたときに、生米パンに出会ったんです」(古川さん)
小麦アレルギーになったご主人の公成さんがおいしく食べられるパンを作りたいと、東京にあるビーガン料理家のリト史織さんの教室に通い、生米パン製法を学ぶことに。その後、公成さんだけでなく「アレルギーや疾患があっても、みんなと同じようにパン食を楽しんでもらいたい」との想いから、公成さんが運営する健康スタジオの一角を改装し、「jam」をオープンすることになったのです。
「『初めてメロンパンやチョココロネを食べられた』ってよろこんでくれた小学生がいて…うれしそうなご家族の笑顔も励みになります」(古川さん)
特に週末は子供連れのお客さんも多く、子供たちがよろこぶメニューもたくさん並ぶんだとか。
イートインではグルテンフリーのピザも人気
生米から作ったグルテンフリー生地のピザも人気です。
外はカリカリで中はもちもち。もち米で作った“チーズのようなもの”は、本物のチーズのような味わいで、遜色はまったくありません。ホワイトソースも小麦粉、乳製品不使用のアレルギー対応で、マルゲリータをおいしくいただきました。



