総門、山門、仏殿、法堂が一直線に並び、左右に配した禅堂と大庫裏を回廊でつないだ伽藍が典型的な禅宗寺院建築として高く評価され、国宝に指定されている富山県高岡市の瑞龍寺。高岡のまちを開いた前田利長の菩提寺でもあり、高岡大仏や古城公園と並んで高岡の文化と歴史を感じることができる人気の観光スポットです。
そんな瑞龍寺の参道、観光用に設けられた駐車場にちょっと変わったカフェが2025年8月、オープンしました。
その名も、「KENTOUCHU COFFEE(ケントウチュウコーヒー)」。
漢字で書くと「検討中」。禅の瞑想や問答にも通じる、忙しい毎日の中で立ち止まり、自分自身と向き合って考えることをコンセプトにしたカフェです。
常に検討中!? 「KENTOUCHU COFFEE」
「検討する、考えを深めることができる空間を提供できたらという想いから名付けました」
やわらかな微笑みで教えてくれたのは、スタッフの岸本繁樹さん。
喫茶店やコーヒーブレイクと言うと、ゆっくりとくつろぎながらもの思いに耽る時間の代名詞のような気もしますが、そんなのも昔。常にスマートフォンで情報に接しながら、“タイパ”を重視する今の時代、カフェと言えどもなかなかゆっくり過ごす時間などないものです。
そんな時代の波に抗ってかどうかはわかりませんが、「考える時間」を大事にしようという想いから生まれたのが「検討中」と名付けられたカフェ。
コーヒーを飲みながら自分自身と向き合う場所をコンセプトに掲げ、その実現のためにスタッフも日々、検討中です。
「私たち自身も、もっと心地よい空間にするにはどうしたらいいか、常に検討中です」(岸本さん)
国宝・瑞龍寺の参道そば 観光駐車場の敷地内にオープン
「KENTOUCHU COFFEE」が店を構えるのは、高岡のまちを開いた前田利長の菩提寺として知られる国宝 瑞龍寺のすぐそば。
寺の参道であり、利長公の墓所へとまっすぐに伸びる八丁道の観光駐車場です。
観光バスやマイカーが何台も停められる広い駐車場。
この敷地の中にあり、イートインはもちろん、ドライブスルーなどでのテイクアウトもOKです。
店内は、ナチュラルテイストの木がふんだんに使われていて、スタイリッシュ。
テーブル席とカウンター席があり、ひとりでも、誰かと一緒でも、いろいろ思考を巡らせながらゆっくりとした時間が過ごせそう。
パッションフルーツの香り「マンデリン」でほっとひと息
「コーヒーは、インドネシア・スマトラ島のマンデリンを使っています。酸味は控えめでパッションフルーツのような香り、深いコクをしっかり味わいにしました」(岸本さん)
こだわりのコーヒーをベースにしたカフェラテやカフェモカ、抹茶をつかったドリンクなど、納得のいく味に近づけるための調整には時間がかかったんだそう。
「薄い・濃い・苦いなど、スタッフ全員で何度も何度も試飲を繰り返しました。飲みすぎでおなかはたぽたぽでしたが、全メニュー、納得のいく仕上がりになっています。ただ、お客さんの声を聴きながら、さらに“検討”して、よりよいものにしていくつもりです」(岸本さん)
抹茶に昆布!? フローズンドリンクで思案も捗るかも?
コーヒーのほかにも検討を重ねたメニューが。
それが、国産の抹茶を使ったフローズンドリンク「玉響(たまゆら)」です。
抹茶・牛乳・生クリーム・黒蜜などの配合にこだわった、いわゆる抹茶フラッペなんですが、ホイップクリームの上にのっているのは、なんと「刻み昆布」。
「富山県民が大好きな昆布です。抹茶フラッペにミスマッチでは?と思われがちなんですが、フラッペの甘みと抹茶の苦味、そこに昆布の塩味が加わり、味わったことのない新し“和”の体験を感じられますよ」と、考案した女性スタッフが教えてくれました。
とはいうものの、どうやって飲んだらいいのか、ちょっと戸惑い、まずは昆布だけをつまんで食べてみると、しっかりとした昆布の塩味を楽しめます。
甘みと苦味、塩味が混ざり合う 一瞬を大事にしたくなる味わい
よく混ぜてから飲むように言われましたが、その前にまずは抹茶フラッペの部分だけをストローで飲んでみました。
風味豊かな抹茶のさわやかな苦味に、まろやかなクリームと黒蜜の独特な甘さと香りを楽しめます。
次に、刻み昆布をよく混ぜて飲んでみます。
やさしい塩味が加わり、甘塩っぱいフラッペに。混ざり合った完成形の味は奥深く、言われないと昆布の塩味とは気づかないかもしれません。
「商品名の“たまゆら”は、ほんのしばらくの間という美しい日本語。短い時間でも、リラックスしながら、物事を考える時間にしてもらえたらと想い、名付けました」(女性スタッフ)
混ざり具合、舌の上で感じる甘みや苦味、その集中の仕方…その時に何を考えているかによっても味の印象は変わりそうで、その瞬間瞬間を大切にしたいと思わせてくれます。
無添加シフォンケーキはわらび粉入りでしっとり食感
ドリンクと一緒に味わいたいスイーツも、検討を重ねた和洋菓子が並びます。
「シフォンケーキもかりんとう饅頭も無添加で、妊婦さんや健康志向の方に安心して食べていただけるように作っています」(岸本さん)
実は「KENTOUCHU COFFEE」を運営しているのは、富山市八尾町でわらび餅などを手掛けている「株式会社WARABI」。そのノウハウもあって、シフォンケーキにはわらび粉を入れて、しっとりとした食感に仕上げています。
黒蜜の香り高いかりんとう饅頭の中には、北海道産のこしあんが100%。一つひとつ丁寧に手作りしているからこそ味わえる独特の風味と食感を楽しめます。
考えることの楽しさを味わいながら、よりよい時間と空間の過ごし方に出会う「KENTOUCHU COFFEE」。ゆっくりとドリンクやスイーツを片手に思案に耽るのも悪くなさそうです。



