手軽に食べられる麺で人気の蕎麦。寒暖差の大きく水はけがよい山間が栽培に適しているとされ、国内では北海道や長野、茨城などが主な産地として知られます。
山に囲まれた富山県にも蕎麦の産地はあり、富山市八尾地域はそのひとつ。本来の味が楽しめる在来種の蕎麦を栽培していて、日本蕎麦保存会が食味をふまえて審査した「おいしいそば産地大賞」にも選ばれています。
今回は、そんな八尾の在来種の蕎麦をつかった手打ち蕎麦の店を紹介します。
通もうならせるほどの蕎麦に徹底したこだわりを見せつつ、うどんや蕎麦を使ったスイーツもそろえて、家族連れも歓迎という親しみある蕎麦専門店です。
飛騨高山へ向かう国道41号沿い ゆったり大沢野の蕎麦店
「和み蕎(なごみそば) たつ」。
店があるのは、富山市中心部から岐阜県高山市方面へと延びる国道41号沿いの富山市大沢野エリア。飲食店やコンビニが並ぶ上大久保地区の四区交差点の角に2024年に移転オープンしました。
まだ新しさが残るきれいな外観。
店内もナチュラルカラーの心地よい空間で、テーブル席やカウンター、小上がりが設けられています。
「うちは家族連れも大歓迎。そばアレルギーの人もおられるので、全メニュー、うどんに変更できますよ」
こう話すのは、店主の野村辰治さんです。
お気づきの通り、店名の「たつ」は店主の名前からです。
「辰年生まれで、じいちゃんが“辰治”とつけてくれたんです。ゆっくりと蕎麦を楽しむ和みの時間(とき)を過ごしていただけたらという想いを込めました」(野村さん)
八尾の人気店仕込み 在来種蕎麦の“完全手打ち”
蕎麦鑑定士も認める“おいしいそば産地” 八尾産在来種
「コシがあって、もっちり弾力があるのが特徴ですかね」(野村さん)
富山市八尾エリアの山里で古くから育てられている在来種の蕎麦粉は、小粒で甘皮も厚く、旨味が凝縮されているのだそう。
香り、甘み、粘りが強い風味が特徴で、実際に食味などを蕎麦鑑定士が審査してランキング付けする日本蕎麦保存会の「おいしいそば産地大賞」では、2022年に島根や長野などの有名な蕎麦の地を差し置いて全国2位に、2020年には全国3位に選ばれています。
そばつゆはキリッとしたカツオ風味の関東風でもなく、昆布だしが効いた関西風でもなく、完全オリジナル。
その理由は…
「つゆにどっぷりつけるお客さんも多いので。どっぷりつけても、最後まで味が変わらないつゆにしてあります。塩が欲しいという人には、塩もお出ししています」(野村さん)
確かに、つゆをたっぷりつけて食べるとちょうどいい塩味。
しっかりと蕎麦の風味も楽しめるバランスは絶妙です。もちっとした弾力といい、舌触りといい、心地のいい食感です。
在来種の風味をしっかり楽しめる「もり」のほか、ぶっかけスタイルや鴨ざるも。
蕎麦にはこだわりますが、食べる人にスタイルを無理強いせず、好きなように食べてほしいというのも野村さんの流儀です。
特製いなり寿司とのセットメニューも、蕎麦専門店とは言え「家族連れ大歓迎」と豪語する敷居の低さを感じさせます。
なかには、「えごまそば」という見慣れないメニューも。
富山市が特産を目指す「えごま」を蕎麦粉に練りこんだもので、蕎麦つゆで楽しんだり、炒ったえごまやえごまオイルをかけて味わうこともできます。オイルをかけると味わいは一気に洋風に。パスタ感覚で楽しめる蕎麦です。
専門店ならではの絶品“蕎麦スイーツ”も
蕎麦粉と米粉を使用したグルテンフリーの「バスクチーズケーキ」
八尾産在来種の蕎麦粉を使ったスイーツも人気です。
「蕎麦バスクチーズケーキ」は、蕎麦粉と米粉を使っていてグルテンフリー。しっとりとした舌触りが特徴で、蕎麦とチーズの風味がけんかすることなく、口のなかに豊かな香りと味わいが広がります。
濃いめの蕎麦湯と一緒に味わうのもオススメです。
炒った蕎麦の実が香ばしいプリン
こちらは、炒った蕎麦の実がのった「そばぷりん」。
牛乳ではなく豆乳を使っていて、とってもあさっりした味わいですが、深みのあるおいしさを堪能できます。
蕎麦の実は香ばしさが際立っていて、プチプチとした食感もクセになる味わい。手土産にしてもよろこばれそう。
このほか、米粉を使ったシフォンケーキも。
本格的な蕎麦の専門店でありながら、懐の深いメニュと店主の人柄にゆったりと心が和みそうな店です。



