くだものや野菜がおいしい実りの秋。人気の高級品種「シャインマスカット」や「巨峰」など、富山県内各地でもさまざまな品種のぶどうが栽培されています。直売所やカフェを併設しているぶどう園も多く、摘みたてのぶどうを生で、ジュースで、ピザで…いろんな形で楽しむことができます。
そんなぶどう園の中から今回は、2025年に本格開園した「イノハラぶどう園」を紹介します。
ぶどうの甘さに衝撃を受け…勤め先を辞めて開園
「イノハラぶどう園」があるのは、散居村で有名な富山県砺波市の田園地帯。
北陸自動車道 砺波ICからほど近いエリアです。
もともとは田んぼだったという場所でぶどう栽培を始めたのは、猪原建実さん(36)。
「金融機関に勤めていたんですが、市内にあるぶどう園で、クイーンニーナというぶどうを食べたとき、その甘さに衝撃を受けて、ぶどう栽培を始めたのがきっかけです」(猪原さん)
一念発起した猪原さんは、まず富山市のぶどう園で1年間、ぶどうの栽培や農園の経営を学びました。そして、2023年に自身のぶどう園を開園しました。
「自分好みのぶどうを見つけて」 約15品種を栽培
「開園から2年、ぶどうの木を育ててきまして、今年が本格オープンになります」と、満面の笑みを浮かべる猪原さん。
「イノハラぶどう園」では現在、1.5haの畑で約15品種を育てています。
「ぶどうってたくさんの種類があって、品種ごとに見た目も味も全然違うんですよね。よく知られている巨峰やシャインマスカット以外のぶどうもぜひ味わってみて、自分好みのぶどうを見つけてもらえたらうれしいです」(猪原さん)
ぶどう園の奥には、築100年を超える母屋を改装して作られた販売所が設けられています。
歴史の重みも感じる立派な柱や梁に見惚れながら奥に進むと、猪原さんが丹精込めて育てたぶどうが並べられていました。
訪れたのは8月中旬。この時期には、歯切れのいい食感と高い糖度が特徴の「クイーンセブン」、あふれだす果汁と低い酸味が甘さを強調している「あづましずく」、そして老若男女に人気の「シャインマスカット」が並んでいました。
「猛暑が続いて、雨が少ない時期が続いたので、少し小粒ですが、糖度が高いぶどうになっています」(猪原さん)
同じ品種でも時期によって変わる味わいを楽しもう
さらに同じ品種でも収穫時期によって味わいがまったく変わってくるんだそう。
「収穫せずにぶどう棚で熟していくと、香りが減ってくる代わりにガツンとした甘さを楽しめます。品種は一緒なのに酸味や糖度が変わってきて、まったく違う味わいを楽しめるんですよ」(猪原さん)
というわけで、「イノハラぶどう園」では
- 甘みと酸味の複雑な味わいを楽しめるシーズン1(8月下旬)
- 品種本来の味わいを楽しめるシーズン2(9月上旬から中旬)
- 品種によっては甘さにコクがでてくるシーズン3(9月下旬から10月中旬)
と時期ごとに位置づけ。
同じ品種でも、それぞれのシーズンのぶどうを楽しんでもらえるように工夫しています。
加工したほうがおいしいものも!
ぶどう園ならではの発想でジュースやジェラートを販売
販売所の前にはオレンジ色のかわいいキッチンカーがとまっていて、ジュースやジェラートなどを味わうことができます。
「加工品にしたときにおいしくなるぶどうがあるんです。粒で食べるときとジュースにしたときではまた違うおいしさを楽しめるので、それを知っていただきたくてキッチンメニューをお出ししています」(猪原さん)
皮、細胞壁…おいしさのワケを知るキッチンメニュー
たとえば、こちらの「あづましずく」。
巨峰系の品種で、酸味が少ない分、甘みを強く感じられるのが特徴の品種です。
この「あづましずく」を半房使ったジュースを飲んでみるとーー
確かに、粒で食べたときの酸味や糖度とはちょっと違う感じ。
「ぶどうの細胞壁を噛みつぶすことで果汁が出てくるんです。だから、よく噛まないとそのおいしさを感じられないんですけど、ジュースにすると最初から甘みも酸味も一緒に楽しめます」(猪原さん)
シーズン毎に違う品種を楽しめる濃しぼりジュース。
訪れるたびに新たなおいしさとの出会いがありそうです。
ほかにも、ぶどうを皮ごと使ったヨーグルトテイストのジェラートや、ぶどうの甘さを一番いい状態で楽しめる「冷やしぶどう」を販売していて、ぶどう棚の下で味わうことができます。
「ぶどうの品種は何万とあるんですが、みなさんの好みに合いそうなものを私がセレクトして、品種を増やしていけたらと思ってます」(猪原さん)
ぶどう愛がひしひしと伝わってくる猪原さんのぶどう園。本格オープンは8月31日です。



