醤油、塩、味噌…と、さまざまな味があるラーメン。
富山ブラックに代表されるように、富山では鶏ガラや豚骨などでとったスープに醤油ベースの「かえし」を加えた醤油味が一般的ですが、そんな富山市で1957年から60年以上にわたって豚骨ラーメンを提供している名店があります。
それが、富山地方鉄道の不二越駅近くにあるラーメン店「南京千両」。
“こんなものはラーメンじゃない!?”―― 久留米の屋台発祥の「豚骨ラーメン」を富山で初めて出した老舗店
豚骨ラーメン発祥の地と言われる福岡県久留米で、屋台のラーメン店「清陽軒」を営んでいたという初代店主の飯田耕作さん。久留米でも人気だった店を弟子に譲り、故郷の富山に戻ってオープンしたのが「南京千両」です。
「富山で豚骨ラーメンを提供したのは、うちが最初だと聞いてます。お店を始めたころは、『これはラーメンじゃない』って、怒って帰る客もいたそうです」
こう話すのは、2代目店主の飯田伸さん。
「富山の人が食べやすいように」と耕作さんが改良を重ねた「南京千両」の豚骨ラーメンを、今も頑なに守り、提供し続けます。
その味の要となるのが、初代から受け継ぐ秘伝のタレ。
黄金色に輝く澄んだタレ、調味料や配合などもすべて門外不出です。
その秘伝のタレが入った丼に豚骨スープを注いでいくのですが、このスープにももちろんこだわりがーー。
「10時間ほど煮込んだらドロドロになるんだけど、うちはあえて5~6時間にしてある。なので、そんなにドロっとしていないんです」(伸さん)
あえて煮詰めすぎないことで、豚骨から出る旨みや脂のクリーミーなまろやかさが堪能でき、しつこいエグみやクドさはありません。
豚骨スープとの相性を追求したという麺は、九州豚骨ラーメン定番の細ストレート麺ではなく、縮れ中細麺。
ほどよくスープを吸った麺はモチモチで、スープとの絡み、すすりやすさも文句ありません。
テーブルには紅ショウガやニンニク、コショウなどが完備されていて、お好みで味変が楽しめるのも昔ながらのラーメン店のうれしいところです。
とろとろの皮にたっぷりチャーシュー
不動の人気「ワンタンメン」
長年据え置かれているラーメン1杯650円という価格も人気が衰えない要因のひとつですが、もうひとつ、不動の人気を誇る理由は、ワンタン。
客の8割が「ワンタンメン」を注文するほどで、「南京千両」の代名詞的なメニューでもあります。
「うちはワンタンの皮ではなく、シューマイの皮を使っているの。だからモチモチしておいしいんだと思う」
大きなシューマイの皮に包まれているあんには、焼き豚の切れ端がたっぷり入っているんだそう。とろとろの皮が破れないようにそ~っと口に運ぶと、スープのうまみをたっぷりまとった皮が、肉のうま味と合わさってツルンとのどを通り抜けていきます。
富山で愛される豚骨ラーメン
2代目店主夫妻の人柄も愛される老舗店
「南京千両」は、富山市中心部から車で数分。
ビビッドな赤い店名に青と緑の龍が映える大きな暖簾が目印です。
開店当初こそ、怒って帰る客もいたという「南京千両」。
その後、博多や九州各地の豚骨ラーメンが人気となり、1970年代ごろから全国各地で知られるようになってからは、この味を求めて遠方から通う客や常連客に愛される名店となっています。
初代店主が改良を重ねた豚骨スープを頑なに守る2代目店主の職人気質や夫妻の人柄も、「南京千両」の豚骨ラーメンが愛される理由かもしれません。
記事編集:nan-nan編集部



