「1年を通して、この大岩にもっと足を運んでもらいたい。そんな想いでラーメン店のオープンを決めました」
こう話すのは、富山県上市町にある真言密宗の大本山、大岩山日石寺の参道に店を構える中華そば専門店「あざみ大岩本店」の店主 滝川哲平さんです。
滝川さんは、日石寺の門前町にある「旅館だんごや」の6代目。
参道にあたる百段坂の登り口で営業していた老舗そうめん店が閉店することを知り、中華そば専門店を開業することを決めました。
「私が小さいころ、大岩には旅館やドライブインが7軒あったんですが、後継者不足などが理由で半分以下になりました。それでも、夏はそうめんを食べにくる人でにぎわうのですが、冬は閑散としていて…この大岩にもっと足を運んでもらえたらと思ったんです」(滝川さん)
大岩山の名物・そうめんに由来
手もみで“ピロピロ”の中太麺にこだわりの中華そば
それにしても、なぜ中華そば店なのでしょう。
その秘密は、大岩山の夏の風物詩ともなっている、名物のそうめんにありました。
「旅館だんごやで、手打ちの生そうめんを提供するのに3年ほど試行錯誤したんです。もともとラーメンが好きだったのもあって、ラーメンならその時に勉強した麺の知識を活かせるので」と、滝川さん。
というわけで、透き通るような艶とのどごしが自慢の生そうめんの技を生かし、ラーメンに使用する麺もこだわりの自家製です。
その製麺作業が始まるのは、早朝の4時。
富山県内外で多くのラーメン店を食べ歩き、研究を重ねた結果たどり着いたのは、かん水を少なめにした「平打ちピロピロ麺」です。
細いところも太いところもある中太麺を、茹でる前にしっかり揉みこんで、縮れではなく「ピロピロ」状態にするのがポイントなんだとか。
「麺の太さはあえて均一にしてないんです。違うから食感のバリエーションが広がる。それをぜひ楽しんでもらえたらと思います」
深みある味わいの醤油スープに
たっぷりチャーシューで麺が見えない「肉中華」
今回注文したのは、スープがこぼれそうなほど器になみなみと注がれた「肉中華(並)」。
並盛りでも麺が300gと多く、さらにその麺が見えないほどチャーシューがたくさん盛られていて、見るからに食べごたえがありそう。
- 肉中華(並) 1150円(税込)※サイズは小・並・大
厳選した素材を使い、丁寧にとったという醤油ベースのスープは、胃袋まです~っとしみわたっていくおいしさ。濃いめの味ではありませんが、深みのあるあじわいです。
麺だけでなく、こちらのスープにも、そうめんの出汁作りで培ったノウハウがベースになっているそうですよ。
そして、こだわりの手打ち自家製麺は、かん水が少なめだからか、食感がソフトで舌触りもやさしいのが特徴。のどごしがよく、ズルッズルッと胃に入っていきます。
自家製チャーシューも、麺と同じように、あえて大きさや厚みを変えていびつにしているんだそう。
バラ肉のしっかりした甘みやトロッとした脂のうま味など、毎回その食感や味の変化が新鮮で、インパクトある見た目よりもすいすいと食べることができます。
「お参りにこられるお年寄りも多い場所なので、老若男女、じいちゃん・ばあちゃんも子どもも食べやすいラーメンにしたかったというのもあります」(滝川さん)
店名の「あざみ」は、草刈りの際に奥さんとの何気ない会話から決まりました。
1300年もの歴史ある大岩山日石寺。
もっと多くの人に足を運んでもらい、にぎわいを取り戻したいという店主の想いから誕生した「中華そば専門店 あざみ」。
夏のそうめんだけでなく、冬の大岩山の新しい名物になるかもしれませんね。
記事編集:nan-nan編集部



