富山のご当地ラーメンと言えば「富山ブラック」。
戦後の復興期、肉体労働者が汗で流れた塩分を手っ取り早く摂取し、白いごはんと一緒にエネルギー補給できるようにと生まれたラーメンです。
そんなわけで、昔ながらのブラックラーメンは「おかず」となるように真っ黒なスープは鶏ガラよりも醤油のガツンとした塩辛さが際立っていて、麺やメンマ、チャーシューやネギなどの具材も太く粗く仕上げた食感重視。仕上げにはたっぷりと黒コショウがかかって、パンチの強さこそ正統と言いたくなるような味です。
ところが、ラーメンがひとつのグルメジャンルとして確立された近年は、和懐石やフレンチ・イタリアンなどの調理法も取り入れながら、丁寧な奥深い味わいも好まれる時代。富山ブラックにも独自のアレンジを加えて進化したラーメンが続々登場しています。
富山駅近くにある「ラーメン一心」も、そんな富山ブラックが味わえる店のひとつ。
鶏ガラや魚介のダシの旨味を感じるスープ
真っ黒でも飲み干せるブラックラーメン
一心ブラックラーメン 850円
こちらが「一心」のブラックラーメン。
レンゲにすくったスープは真っ黒で、いかにもブラックラーメンらしいのですが…
口に含めば、意外にも尖った塩辛さは感じません。
醤油の香ばしいかおりに、鶏ガラや魚介の風味と甘みを感じることができます。
「ただ塩辛いだけじゃなくて、おいしいラーメンを食べてほしいので」と語るのは、「一心」の店長、中村さん。
かえしとなるタレは、手造りのチャーシューを煮込んだあとの醤油に、煮干しやサバなど数種類の節をブレンドしています。合わせるスープは、鶏ガラをベースに、丸鶏と長ネギ、煮干し、サバ節などを煮込んだコクのあるスープ。
しっかりと濃厚でありながら、素材の旨みが際立つ上品な味わいです。
そのスープをたっぷりと吸った麺は、細めのストレート。
一般的な富山ブラックは太めで噛み応えがある麺を使うのに対して、つるつるしたのどごしを重視しています。
国産小麦を100%使用した自家製麺は、スープの塩味がマイルドな分、細麺でも小麦の風味をしっかり感じることができます。全粒粉もブレンドしているため、独特のコシがあるのもこだわりです。
昔ながらの富山ブラックのヒリヒリするような尖った強さが苦手な人でも、「一心」のブラックラーメンはおいしく食べられそうです。
魚介の旨みを凝縮したあっさり煮干しラーメンも
氷見煮干ラーメン 850円
※写真は氷見煮干特製ラーメン(1250円)
富山ブラックと並ぶ「一心」の人気メニューは、煮干しラーメン。
澄き通ったスープがまぶしく、よりあっさりとした味わいですが魚介の旨みがしっかり凝縮されています。
使用しているのは、瀬戸内の最高級煮干しと氷見産の煮干し。
カツオ節やサバ節などは加えず、煮干し100%なんだとか。
それも、熱湯で煮出してダシをとるのではなく、3~4日という長時間をかけて水出しするのがポイントなんだそう。そうすることで、臭みや苦みが出ず、旨みだけが溶け出します。
うすくち醤油と合わせたあっさりとした味わいは、奥深い煮干しの風味がいつまでも残り、ゴクゴクと飲み干してしまえるほどのおいしさです。
こちらも、全粒粉がブレンドされた国産小麦100%の自家製麺を使用。
つるつるとしたのどごしに、小麦の風味が際立ちます。
「特製」ラーメンでは、トッピングに煮玉子とチャーシューが追加されます。
3種類のチャーシューは豚バラ、豚肩ロース、鶏胸肉。
旨みが逃げないように真空でじっくり低温調理した豚肩ロースはやわらかく、鶏胸肉もパサつきがなくしっとりした食感です。
20年以上前、まだ「煮玉子」が富山で浸透していない頃から県内でいち早く提供し始めたという煮玉子ラーメンは、特製ダレに漬け込んだ半熟玉子のねっとりした味で、ラーメンにアクセントを加えます。
富山ブラック、煮干しラーメンともに、しっかり濃厚な旨みで食べ応えもありながら、不思議と罪悪感を感じずにじっくり味わえそうな「一心」のラーメンでした。
記事編集:nan-nan編集部



