富山市中心部にある千石町通り商店街。
かつては富山城の城下町だったといわれ、商店街としての歴史も100年以上。老舗から新しいワインバルまでさまざまな店が軒を連ねています。
90年続く老舗のそば店「くすしそば本舗 そば処まるぜん」もそのひとつ。
自家製麺のそば・うどん・中華そばに丼物や一品料理も
歴史ある商店街で愛される老舗そば店
「まるぜん」は昭和初期の1933年に富山市内で創業。
戦後の1954年に現在の場所に店を移し、以来、千石町通り商店街を代表する有名店として、長年愛されています。
そば、うどん、中華そばは、すべて自家製麺。
ほかにも丼物や一品料理など、豊富なメニューが並び、地域の住民が通う食堂のような親しみある店です。
看板メニューは薬膳そば
店の看板にもなっている「くすしそば」は、富山県産のそば粉を含む国内産そば粉と、体にいいとされる生薬をブレンドした薬膳そば。
先代店主が4年もの歳月をかけて考案したもので、1987年ごろから変わらぬ製法で提供しています。
かけくすしそば 900円
麺は、田舎そばのような濃い色で、ほんのり赤みがかっているのが特徴。
「薬膳」という名前はついていますが、薬臭さはほぼなし。
甘みと苦み、ほのかに爽やかさを感じる不思議な香りがあって、それらがしっかりまとまっています。
オウセイやナルコユリ、ヤマイモといった6種類の生薬を配合しており、薬都・富山の食や文化を感じられる1杯です。
天ざるくすしそば 2100円
天ぷらなどと合わせても体にやさしそうなので、安心して食べられます。
秋冬限定!根強い人気のたっぷりきのこメニュー
きのこうどん 1300円
季節ごとの限定メニューもあります。
秋冬の人気はきのこのメニュー。
きのこをたっぷり、「これでもか!」というくらいに投入したメニューで、そばやうどんの麺が見えないほど。
店主・窪田さんいわく、麺が見えるの嫌!なんだとか。
「うちは麺が見えないくらいたっぷりの具だくさんか、逆に麺しか見えないようなシンプルなメニューか。どっちかだね」(窪田さん)
きのこそば 1300円
舞茸やしめじ、ヒラタケ、きくらげ、なめこなど、たっぷりのきのこの旨みが溶け出したあったかいつゆで、体がじんわりとあたたまります。
ちなみに、きのこは仕入れの際に店頭に並んでいるものを総ざらいしてくるんだそうで、その時々によって種類は変わります。
これが元祖の味! 修行経験をもとに完全再現
懐かしの「ブラックラーメン」
実は「まるぜん」の名物となっているのが、昔ながらの"富山の中華そば"。
看板には「そば処」とありますが、売り上げの半分は中華そばが占めているんだとか。中でも人気なのが「だいき」です。
だいき 並 800円
真っ黒なスープに太い麺、どっさりチャーシュー、メンマ、ざく切りネギに黒コショウ…。
そう、「だいき」はいわゆる富山ブラックラーメンのこと。
人気の理由は、“元祖”の味をほぼ完全再現しているから。
「富山ブラック」の呼び名もないころに修行した
当時の「大喜」の味をほぼ完全再現
というのも、実は店主・窪田さんは、昭和の終わりから平成初期にかけて約4年間、ブラックラーメンの元祖「大喜」で修業していた経歴の持ち主。当時はまだ「太田口通りの大喜(だいき)」と言われていて、「富山ブラック」という呼び名もないころでした。
修行とは言え、なんと初日からスープの準備にタレの調合、チャーシューやメンマの仕込みなどを任されていたというから驚きです。窪田さん、当時は「だいきのあんちゃん」なんて呼ばれていたそう。
当時の味を懐かしむ「まるぜん」の常連客からのリクエストに応え、再現したのがこの「だいき」なんだとか。
メンマやチャーシューなどの味付けはそっくり当時のまま。
麺も当時のものを再現した自家製麺です。
味の要となる醤油だけは、香川県の醸造所が閉業していて困ったそうですが、その醸造所から独立した人が同じレシピで醤油を作り続けているのにたどり着き、ほぼ当時と同じものを入手することができました。
そんなわけで、原材料から作り方まで、ほぼそっくりそのまま、昭和に親しまれた元祖・富山の中華そばが老舗そば店の人気メニューとして誕生することになりました。
ブレンドした醤油で大量に煮込み、濃い味がしみ込んだチャーシュー。
塩抜きしたあとに再度味付けしたメンマ。
肉のうま味が溶け出した醤油を、鶏ガラだけのシンプルなスープで割った真っ黒なスープ。そのスープが絡む太い麺。
真っ白ごはんと合わせて食べたい、富山の味です。
10食のみの夜限定メニューから
思わぬきっかけで人気の通常メニューへ
ちなみに、この「だいき」。
2018年の発売当初は「夜限定10食」のみの隠れメニューでした。
ところがコロナ禍になり、客が激減した際に「限定にしておく意味もないか…」と通常メニューにしたところ、半分ほどに落ち込んでいた店の売り上げが元に戻ったんだとか!
食べる際にはぜひ、富山県民の“ブラック愛”を感じながら、どうぞ。
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記事編集:nan-nan編集部



