
店内に流れるのは店主オリジナルの昭和歌謡のプレイリスト、店名にかかげるこだわりのコーヒーに、ナポリタンやチーズケーキ…いかにも昔ながらの居心地のいい喫茶店が、富山県高岡市にあります。

ただ、この喫茶店、実はワケありで…なんと店主はコーヒーが苦手なんだとか。
コーヒー嫌いがコーヒーを提供する店ってどんな店!?
というわけで、実際に行ってみました。
コーヒーが苦手な店主が唯一飲むことができる
インドネシアで出会ったおいしいコーヒー豆

高岡市の戸出地区にある「珈琲パーラー P.berry(ピーベリー)」。

ダークブラウンの木目にやわらかな光の照明が落ち着くレトロな喫茶店。
コーヒーが好きな人は、店名にピンッときたかもしれません。
「ピーベリー」とは、1つの実の中に種子が1つしかない希少なコーヒー豆のこと。苦手なのにあえてコーヒーにこだわる理由は、店のオープンにあたってある想いがあったから。
「若い人が楽しめるカフェはたくさんありますが、年配の方に居心地がいいと思ってもらえるカフェがあったらなと思って…それで、店主がコーヒー嫌いじゃダメだと思って、コーヒーコーディネーターの資格を取りました」
こう話すのは、店主の山田さん。
お年寄りに居心地のいい場所を作りたいと考えるうち、コーヒーの知識や技術を身につけてカフェを開こうと決意しました。
その過程でめぐり会ったのが、山田さんが唯一おいしいと思えたインドネシアのマンデリンです。
スマトラ島にある農園まで足を運ぶほど、心からほれ込んだというマンデリン。
「ピーベリー」で提供するのはフレンチローストのマンデリンとブレンドの2種類のみ。山田さんがハンドドリップで1杯ずつ淹れるコーヒーは、酸味が抑えられ、厚みのある苦みと豊かな香りを味わうことができます。

「通常、コーヒーは1つの実の中に2つの豆が入ってるんですが、くっついて1つになった希少な豆のことを『ピーベリー』と言うんです。お客さん一人ひとりとの希少な出会いを大切にしていきたいという想いもあって、お店の名前にしました」(山田さん)
そう語る山田さんは、今でも自分の店で提供する2つのコーヒーしか飲むことができないそう。
コーヒー嫌いの店主をも虜にさせるコーヒー、飲んでみたくないですか?
コーヒーに合うスイーツのために研究を重ね…
3年の歳月をかけて作り上げたチーズケーキ
こだわりのマンデリンと一緒に食べておいしくなるよう、スイーツにもこだわっています。中でもチーズケーキと合わせるために費やした時間は、3年間。
そのまま「こだわり3年チーズケーキ」という名のメニューになりました。

「お酒と料理の相性があるように、コーヒーとスイーツの相性もありますからね」と、山田さん。
クリーミーな舌触りのチーズケーキは、最初はまったりと濃厚ですが、後味はさっぱり。深い味わいのマンデリンと交互に味わうことで、互いの特徴ある味わいをより強くしてくれます。

もちもち太めのパスタにベーコンと野菜が絡む
昔ながらのナポリタンをアツアツ鉄板で

もうひとつの看板メニューは「鉄板ナポリタン」です。
ジュージューと音を立てながら鉄板で運ばれてくるナポリタンは、卵の黄色にオレンジ色のパスタが色鮮やか。
「1.9mmの太めのパスタを油を吸わせて一晩寝かせて、モチモチ感をだしてます」
山田さんのこだわりは太くてケチャップたっぷりの、昔ながらの喫茶店の味。塩味を指定して特注しているというベーコンや炒めた野菜とのバランスもよく、懐かしい味わいです。

もともとは保育士だったという山田さん。
2014年にオープンした店はすっかり地域の人たちの憩いの場として愛されています。
そして、もうひとつ、山田さんのこだわりが。
それは店にかかるBGM。山田さん自らがセレクトした昭和歌謡をかけています。
コーヒーが苦手な店主のこだわりを詰め込んでいるからこそ、いつまでも居心地のいい喫茶店。思わぬ出会いに魅せられるかもしれませんね。

【店舗情報】
【珈琲パーラーP.berry(ピーベリー)】
住 所 富山県高岡市戸出大清水311
営 業 9:00~17:00
電 話 0766-63-6492
定休日 月曜

参考:KNBテレビ「いっちゃん☆KNB」
2023年11月8日放送
記事編集:nan-nan編集部