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アナウンサーブログ

「槍ケ岳」を日帰り登山

プライベート 2020/09/25

最後の「槍の穂先」で緊張を強いられる

天を突く鋭い岩峰が特徴的な「槍ヶ岳」(3180m)。県内の山々からも望むことができ、一度は登ってみたかった“百名山"です。山の天気予報を確認しながら9月20日に日帰り登山してきました。


ヘッドランプの灯りで林道を進む


登山道では何度か川を渡る


槍平小屋(1981m)で一服

出発地点は岐阜県の新穂高温泉(1090m)。午前5時前にヘッドランプを点けて仲間と3人で出発。まずは林道を約5km歩かなければなりません。とても長く感じますが準備運動と割り切ります。1時間後にようやく登山道に到着。先行登山者を次々に抜いてぐんぐん標高を上げていきます。日帰りなので装備は最小にしたトレイルラン・スタイルでスピード重視です。


千丈分岐点には救急箱が設置してある


登山道を振り返ると北アルプスの山並みが

森林限界を超えて千丈分岐点(2545m)へ。まだ標高差で約600mを登らなければなりません。高曇りで周囲の展望は抜群、雨の心配もありませんでしたが、空気の薄さを感じるようになります。


フリースを着るほどの寒さ


「飛騨乗越」を左に向かうと槍ケ岳へ

ところが、この先から急激に気温が低下するのを肌で感じます。風も強くなり体感温度が一気に下がります。たまらずフリースの上着を着こみ、グローブを装着。それでも寒さは増すばかり。手はかじかんで指の感覚がなくなります。日本最高地点の峠という「飛騨乗越」(3008m)では防寒のためレインウェアを着ました。

実は、前日確認した山の天気予報で槍ヶ岳の気温は日中でも「2度」の予想。目を疑いましたが念のためと思い、かさばる上着やグローブ、帽子などの防寒具を装備してきたのです。


槍の肩から望む「槍の穂先」


体が冷え切ってなかなか温まらない
 
文字通り“凍えながら"槍の肩にある槍ヶ岳山荘(3080m)に到着したのは、出発から4時間半後の午前9時半。このブログを書くにあたって山荘の気象観測データを確認してみると、この日(20日)未明には5度台だった気温が下がり続け、午前9時半に日中の最低気温となる1.2度(その後は上昇)。さらに、700hPa(高度3100m)の高層天気図(実況)を見ると、この秋一番の寒気(0度近く)がこの時間中心に南下していました。寒さの原因は"上空の寒気"だったのです。

山荘内は石油ストーブが焚いてあり本当にありがたい。そして、これまた念のためにと持参した携帯用カイロの封を開け、約30分の休憩はまさに想定外でした。


岩の中を縫うように登る


赤い屋根の槍ヶ岳山荘が小さく見える


最後の長いハシゴを下から見ると


それを上から見た様子

午前10時。身体が温まってから「槍の穂先」に取りつきました。約100mの岩の壁をよじ登らなければなりません。手がかじかんで動かなくなるのが心配でしたが、緊張感があると血流がよくなるのかもしれません。指は大丈夫。高所恐怖症なので、あまり下を見ずに一気に登る。高さ10mはあるだろうほぼ垂直の長いハシゴを登り切ると・・・そこが山頂。約15分でした。


360度の展望は最高


右奥が「常念岳」


いくつもの峰々からなる「穂高岳」

遠くから見る槍ケ岳はチクチクに尖がっていましたが、山頂のスペースは案外広く10畳くらい。360度の眺望は、東の方角にどっしりとした重厚な山容の「常念岳」(2857m)。北には岩稜の塊で白っぽく見える「穂高岳」(3190m)の全貌を望めます。いずれ「ジャンダルム」や「大キレット」などの難コースを攻略したくなります。

山頂にいたのは15分ほど。登頂した安堵感をリセットするため、「絶対、けがをしない」と声に出して皆で確認しながら下ります。


下山は向かって左側のハシゴから


鎖とハシゴはあるが登り以上に緊張を強いられる

国内で5番目に高く、「日本のマッターホルン」と呼ばれる槍ケ岳。最初に登頂したのは「播隆(ばんりゅう)」という山岳修行僧。越中(現在の富山市)の生まれですから富山県との縁を感じます。1828年に初登頂に成功し、その後、登山者のために鎖などを設置したことから“日本アルプスの先駆者"ともいわれています(日本百名山より)。
また、映画化された「劔岳 点の記」の著者で山岳小説家の新田次郎は、小説「孤高の人」で「地球の骨が天に向かって飛び出している場所」と表現しました。


槍ヶ岳山荘のテラスから見上げる「槍の穂先」

雲が切れて青空が広がり日も差すと、先ほどまでの寒さが嘘のよう。出発地点の新穂高温泉に到着したのは午後4時前。往復約30kmを11時間で下山しました。


出発地点の新穂高センターをバックに

今回の山行でとても教訓になったのが「気温の変化」。少し前まで平地では35度以上の猛暑日。そんな中、予想最高気温「2度」と言われても正直ピンときませんでした。装備を考える際の参考にはしたものの半信半疑。でもよく考えると標高3180mは、計算上、平地より20度近く低くなります。3000m級の登山は油断禁物だということをあらためて実感しました。


奥に見えるのは「穂高岳」
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