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アナウンサーブログ

78kmをトレイルラン

プライベート 2019/06/28
「たぶん、日本海側では最も過酷な大会ですよ」。参加直前にランニング仲間から聞いた一言。もとより制限時間ぎりぎりの完走が目標ですが、不安に拍車がかかります。

それが「山中温泉トレイルレース」。開湯1300年の歴史を誇る石川県加賀市の山中温泉周辺の山々「加南三山」(富士写ヶ岳・大日山・鞍掛山)がその舞台。距離は78km(80kmの部)、累積標高は約5300mです。


過酷な大会だけにスタート前は独特の緊張感


コースと高低イメージ図


富山から参加したランナー仲間で記念撮影

大会は6月23日(日)。雨の予報から次第に晴天傾向に。スタート・フィニッシュ地点は山中温泉街の中心部。80kmの部にエントリーしたのは356人、このうち富山県からは29人です。

スタート前のランナーの表情を見ると誰もが“強者"のよう。雰囲気に飲まれるとはまさにこのこと。制限時間は17時間。余裕があるように思えますが、決してそんなことはありません。前年の完走率は56%ですから、半分近くの人がフィニッシュできないタフなコースです。

「プワーン・・・」。午前5時に合図のホーンとともに出発、長い1日が始まります。制限時間の午後10時までに再び走って戻って来ることができるのか。覚悟を決めて行くしかありません。すぐに階段を上って山の中へ。標高500m前後のアップダウンが続きます。


スタート直後の階段はランナー渋滞


ロープでよじ登るコースが至るところに

スタートから約1時間後、コースはガードレールを跨いだ地点へ。これから向かうのは遥か遠くに見える「富士写ヶ岳」のピーク(942m)です。大聖寺川を堰き止めた「我谷ダム」近くの赤い吊り橋が「富士写ヶ岳」への登山口。吊り橋はほとんど揺れませんが、高度感があり足がすくみます。


ガードレールを跨ぐように誘導する赤い矢印


コーススタッフが指差す向こうに「富士写ヶ岳」が


高所恐怖症には長く感じる吊り橋

約1時間後に「富士写ヶ岳」のピークを巻いて下りへ。「九谷ダム」を渡ってすぐのエイドステーションに到着、水を補給します。ここまで17km、約3時間20分。この日、最低気温は16.7度、最高気温は22.0度(加賀菅谷)と低め。それでも走っていると大量の汗でウェアはびしょ濡れ。これがあとで痛いことに。


「富士写ヶ岳」頂上へは右へ、コースは左でここから下り


九谷ダムサイトの「エイドステーションAS②」で

この先はダム湖沿いのコースを進みますが、一向にペースが上がりません。23km地点の「第1関門」に到着したのはスタートから4時間後の午前9時すぎ。関門の設定時間が後半で厳しいと聞いていたので、今回は各関門まで余裕を持って目標到着時間を計画していました。しかし、その計画より早くも約1時間の遅れ。完走目標に黄信号か。


午前9時すぎに「第1関門」を出発


渓流釣りのポイントが点在する大聖寺川上流部


関門の目標通過時間を手書きでメモ

大聖寺川沿いのコースを遡ると釣り人の姿もあり、渓流には魚影まで確認することができました。まったく上がらないペースの中、「ああ、釣りに来ればよかった」、「がけ崩れでコースが埋まらないかな」、「クマが出て中止にならないか」などとネガティブなことばかり考えてしまいます。


「大日山」1368m)」登山口

そうこうするうち、コース最高標高1368mの「大日山」を目指す登山口に到着。厳しい激坂・直登が始まります。自分でも不思議なのですが、何故かここで俄然、やる気が出てきました。さすがに走ることはできませんが、“ガシガシ"登って次々に先行ランナーを抜いていきます。山頂近くの避難小屋に近づくと広葉樹林からクマ笹に植生が変わっていました。期待していた眺望は、ガスに遮られて望めず残念。


登山道は真っすぐに続く「激坂・直登」


視界が開け、山頂近くの避難小屋が目に入る


谷からガスが湧き立つように眺望を遮る


「大日山」ピークでスタッフに撮影してもらう

登山口から約1時間半、「大日山」のピーク(1368m)に到着。思ったよりあっさり辿りつきました。ここからは下り基調です。自分でも驚くほどの順調なペース。とても気持ちの良い樹林帯のコースを進みます。この先は急な下り。足への負担を考えてあえてペースダウン。午後2時前に「第2関門(45km地点)」に到着しました。関門制限時間より2時間早く、何とか事前の計画通りに戻すことができました。


エイド食や飲み物など充実した「第2関門」に到着


たき火の炎がエイド内にやさしい温かさを与える


天カスとネギが入ったソーメンは最高


割り箸を割ってくれた女性スタッフ

この関門では、薪が焚かれ、その炎を見ると心が落ち着きます。さらに、エイド食として振る舞われたのが「ソーメン」。割り箸がすでに割ってありました。配膳していた女性に聞くと「疲れていると箸を割るのも大変でしょ」と、その気遣いに感激です。冷たく食べやすくて塩分があって、ランナーのエネルギー源となる炭水化物の補給ができます。これを4杯とおにぎり1個を食べて、いざ出発。富山県からランナーの応援に来ていた女性たちにも励まされ感謝です。ここまでは足に故障や違和感もなく体調も万全でした。


膝と足首・足指には故障防止のテーピング、シューズは新調


通行止めだがコースの山道をイギリス人が通過

今回の大会のために新調したトレランシューズはもう泥々。テーピングは足の速いヒョウ柄を選んでみましたが、急に速く走れるわけもありません。相変わらず、通行止めの道がコースになっているなど“面白い"大会です。前を行くランナーは千葉県から参加したというイギリス人。トライアスロンのロングディスタンスを完走したことがある“アイアンマン"と判明。いずれ自分もと、気持ちを新たにします。


「第3関門」では加賀名物「娘娘(にゃあにゃあ)万頭」が

スタートから51km地点の「第3関門」には午後3時に到着、制限時間2時間前の通過をキープします。スタートからすでに10時間走っています。このあたりから内心では完走への手応えを感じ始めていました。ところが、そんな気持ちを打ち砕くような本当の試練はここから始まるのです。


疲労が蓄積したランナーにはつらい上り


登り始めてから2時間以上かかる「三童子山」のピーク


第3関門先の「三童子山」越えが最もハードな区間

次に目指すのは「三童子山(493m)」。前回大会は別コースでしたが、今回は2年ぶりに元に戻りました。ここの登りは「大日山」より急坂。疲労が貯まった足は踏ん張りがきかず、ロープを握って体を引っ張り上げます。難所を乗り切りますが、走れども走れどもピークに辿り着かないのです。エイドのスタッフから「ピークまで19回のアップダウンが続く」と聞きましたが、まさかここまでハードとは。心が折れそうになってようやくピークへ到着。登り始めてから2時間余りもかかりました。

ピークから2km続く下りは、一段の高さが50cm以上はある階段が待ち構えています。一歩降りるたびに全体重を支えなければなりません。スタートから12時間が経過し、すでに売り切れている足をさらに削ります。余裕を持っていたはずの関門までの時間があっという間になくなっていました。


沿道に出て応援してくれる地元の人に感謝


関門では、携帯電話でナンバーカードを撮影して通過を確認


次に目指すのが奥に見える「鞍掛山(478m)」


前日にコンビニで購入したカレーパン

沿道からの応援は本当に心にしみます。最後の「第4関門」に到着したのは午後6時すぎ。ここから「鞍掛山(478m)」のピークを越えなければなりません。ここぞというタイミングで食べようと思って持参していたのが“カレーパン"。ありがたいことに食欲はまだあり胃袋も受け付けてくれました。出発したのは関門制限時間の45分前でした。


「鞍掛山」登山口を登り始める女性ランナー


夕陽に照らされ黙々と上るランナー


山頂では水蒸気のベールがかかったような眺め

「鞍掛山」は「地元で人気の気軽に登れる山」ということですが、かなりの急登が続きます。前を走る女性ランナーは2回目の参加。前年は完走できず「もう宿題は残したくない」と、リベンジを誓っていました。その思いが表れるスピードでテンポよく上がっていき、私を含む男性3人が無言で後をついていきます。

登り始めて約40分。山頂で日本海に沈む直前の夕陽を望むことができました。しかし、ゆっくり眺めているわけにはいきません。日が暮れる前に山を下りたかったのですが、その時間はありませんでした。


夕闇が迫り、装着したヘッドランプ


600ルーメンの灯りで山中を走る(歩く)

午後7時すぎ、必携品だったヘッドランプを装着し点灯。この明かりを頼りに真っ暗闇の山中を進みます。ここで兵庫県から来た男性ランナーと合流。歩きながら最後のエイドステーションに到着しました。そこにいたのが富山県からボランティアとして参加していた男性。一緒だった兵庫の男性とも顔見知りでした。ランナー同士のつながりに驚かされます。


左)富山からのスタッフ 右)兵庫のランナー

あと7km。制限時間の午後10時まで2時間を切っていました。今度こそ、完走を確信し林道を歩いていると、スーッと黄緑色の灯りが尾を引くように光ります。ホタルです。自然豊かな人里まで降りてきたと実感、フィニッシュまであとわずかだと思いました。ところが・・・。


2018年大会はクマ出没で迂回した里山コース

最後の最後にもうひと山、越えなければなりませんでした。コース図をよくみると、標高200m余りの名もなき里山があるのです。林道から再び山道に入ります。最初はロープにしがみついて登る激坂、その先も尾根伝いにだらだらと上りが続きます。いい加減にしてほしいと思ったあたりで、今度は登った分だけ急坂を下らなければなりません。自重を支える足はとっくになくなっていました。走れず歩きます。写真を撮る余裕も残っていませんでした。


「鶴仙渓」の遊歩道(1.3km)がコース


ねじれた感じが特徴的な「あやとりはし」

フィニッシュまでの約1kmは山中温泉の景勝地「鶴仙渓」沿いの遊歩道がコース。普段は多くの観光客がそぞろ歩きしていますが、さすがにこの時間は誰もいません。あやしくライトアップされた「あやとりはし」を一人で渡り、温泉街のメインストリートへ。

16時間29分23秒(149位)。制限時間の約30分前に何とか完走できました。
ちなみにトップ選手の記録は10時間20分余り。スタートした302人中、完走したのは172人で完走率は57%でした。


前日立ち寄ったコーヒー店のマスターらも出迎え感激

足はとっくに限界を超えていましたが、制限時間が設定されていると動くものだということが分かりました。スタート・フィニッシュ地点が同じ一筆書きのコース。累積標高約5300mということは、下りも同じだけあるということ。実は、この下りが足を削るのです。筋肉痛になったのは太ももの前面にある大腿四頭筋。下りで踏ん張るための筋肉です。フィニッシュ地点近くの総湯「菊の湯」に浸かり疲れを癒しますが、午後11時すぎから車を運転して無事に自宅に帰る自信がなく車中で仮眠。翌朝早くに戻りました。


早朝の山中温泉

これまで参加した中で最も大変な大会でした。汗でウェアがびしょ濡れと書きましたが、下りでは汗をかかないので乾きます。すると、塩分が結晶となって浮き出ます。この結晶が擦れて体を傷つけるのです。今回初めてインナーショーツによって両太ももの内側が擦れて皮がむけました。今もヒリヒリしています。皮膚を守るクリームも塗っていたのですが・・・。

この大会の1週間後の6月30日(日)は、石川県の「能登島トライアスロン大会」に出場予定です。しっかり疲労を抜いて結果を出したいと思います。7月は、7日(日)に「KNB大バザール」、そして、参議院選挙が控えているので仕事に集中します。
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