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アナウンサーブログ

禅の古道73kmを駆ける

プライベート 2018/10/20

山門前ではかがり火が焚かれていた

出発地点は石川県輪島市の総持寺。かがり火が焚かれる中、午前5時にスタートです。2018年10月14日(日)、「第4回峨山道トレイルラン」に出場してきました。峨山道(がさんどう)とは、石川県輪島市の総持寺(そうじじ)と羽咋市の永光寺(ようこうじ)を結ぶ13里(約52km)の山道です。1340年から20余年、総持寺と永光寺の住職を兼ねていた「峨山禅師」が永光寺の朝の務めを終えた後、この山道を越えて総持寺の朝の読経に間に合わせたと伝えられています。こうした歴史物語のある禅の古道を辿る大会です。今回の参加者は男女合わせて413人。富山県からも37人がエントリーしていました。


スタートを待つランナーたち


完走できるか不安が頭をよぎる


コースは能登半島を北から南に縦断


コースの断面図(累積標高約2900m)

大会のコースは、この伝説の古道をベースに永光寺までのワンウェイ約73kmを走破するものです。累積標高(上りのみを合計した値)は約2900m。最高標高は368mと高山はありませんが、里山の小刻みなアップダウンが幾度も続く結構タフなコースです。これまで100kmのウルトラマラソンの経験はありましたが、50km以上のトレイルランニングは初めて。富山マラソンまで2週間、疲れが残らないか不安もありましたが、「それまでには回復するだろう」という安易な見通しから、エントリー期限の最終日に“ポチッ"と申し込んでしまいました。


狭い山道に入る所でランナー渋滞

 
観音像が並ぶ悟りの路


高台から望む能登の山並み


峨山頂上にある石柱


朝霧が立ち込めるひんやりとした空気


地元の人たちのあたたかい声援

夜明け前の暗い中でのスタートなので、足元を照らすヘッドライトは欠かせません。コース沿いには観音像が並ぶなど禅の里の雰囲気が味わえます。展望のきく高台からは次第に明るくなる能登の秋景色が広がっていました。スタートから6kmで峨山の頂上へ。朝霧が立ち込める中、白い息を吐きながら走ります。沿道には、朝早くから近所の人たちが出てランナー1人ひとりに声援をかけてくれます。地元の人たちの人柄が伝わる気持ちのいい大会。


8リットルのザックに詰め込んだ装備品

コースに設定されたエイド(給水所)は全部で7か所。しかし、給食(おにぎりとイカ団子)が用意してあるのは48km地点の第5エイドだけ。その他は水と塩しかありません。73kmを走り切るにはエネルギーの補給が不可欠です。つまり、ランナー自身がどれだけの食糧が必要かを考えて装備しなければなりません。私は、おにぎり2個、小さな菓子パンとミニクロワッサン合わせて6個、エネルギージェル5個、水に溶かすスポーツドリンクの粉、クエン酸カプセル、チョコやナッツなどをトレランザックに詰め込みました。後半、エネルギーを補給できないと「ハンガーノック」で失速するので、少し多めに携行するのがいいと感じました。この他にもレインウェアやエマージェンシーブランケットなど必携品が多くあり、ザックはパンパンです。


計測用バンドをタッチして通過チェック


招待されている石田選手と一緒に4人で記念撮影。


山道を抜けると突然現れる巨大風車


10基以上ある風力発電施設を望む

各エイドでは、通過したことを記録するため、腕に装着した計測バンドを機械にタッチします。すると「ビビッ」と大きな音が鳴って驚きます。エイドは交流ゾーンでもあります。県内から参加しているランナー仲間を見つけ、互いに励まし合います。これが次へと踏み出す大きな力になるんです。気持ちよく整備された里山トレイルを抜けると、突然現れたのが風力発電の巨大な風車。虫ケ峰です。近くを走ると「ブオンブオン」という翼の回転で生み出される低ノイズの音が体に響きました。


初めて見た草鞋ランナー


日中は気温が上がりかなり汗をかく

途中、草鞋(わらじ)を履いたランナーを目撃しました。峨山禅師の悟りの路を往くコースです。確かに当時は草鞋だったでしょう。草鞋ランナーの男性に声をかけると「1足では足りず3足を用意しているが、足は大きなケガもなく大丈夫だ」と話してくれました。

秋の能登路を巡る旅。木洩れ日の差す林道、秋の日差しを受けてススキの穂は銀色に、セイタカアワダチソウが黄金色に輝く農道。ペースはとても快調でした。次々に先行ランナーを追い抜きます。でも決して無理はせず、足を温存するように走ることを心がけました。約10kgの荷物を背負い縦走した2018年8月の奥黒部を周遊する山行の経験が活きていると感じました。


日差しを浴びて輝く秋の能登路

しかし、のどかな光景が続いていた先に待ち受けていたのが、誰が名付けたのか「鉄塔地獄」。能登の里山に設置された送電線鉄塔の保守点検ルートを走るコースです。鉄塔は山の小高い場所に設置されているため、コースは鉄塔を目指して上り、鉄塔を過ぎれば下って、再び次の鉄塔を目指して上るという繰り返し。少し前に見た鉄塔がまた現れるデジャヴュのよう。約20はあったように感じました。ペースはおのずとダウンします。大会が終わった今もつい鉄塔に目がいくのはトラウマかもしれません。


まるで蜘蛛の巣のような鉄塔


どこまでも続くように感じる鉄塔地獄

今回の大会で初の失敗がロスト。つまり、コースを外れて見失ってしまうことです。中間地点を過ぎて快調に飛ばしていた時でした。前を走る女性ランナーを追い越し、さらに加速して下っていましたが、しばらくするとコースを示す白いテープがないことに気付きました。追い越した女性と一緒に来た道を戻ること約1km。コースの分岐点がありました。このロストの間に撮影していた写真がアケビの実。調子に乗って走っていた上、秋の味覚を写真に収めようと上ばかりを向いていたため、分岐点を見落としたのが原因でした。往復2km、約15分のロストです。正直、精神的にもかなりのダメージを受けますが、気を取り直して走るしかありません。


走っていなければ収穫したいアケビの実


約250m間隔で取り付けてある白色テープ

晴れているとはいえ、所どころでぬかるんでいて、シューズはどろどろ。「能登はやさしや土までも」といわれますが、「土まで柔らかすぎると困る」と突っ込みたくなります。2017年のブログでもお伝えしたカエンダケの赤い姿も発見しました。触っただけでも皮膚がただれるので要注意です。鉄塔地獄を抜けると平坦なロードに出ます。邑知潟地溝帯です。地溝帯とは、両側の断層のため陥没してできた凹状の低地帯のことです。つまり、ゴールの永光寺に辿り着くためには、もう一度、正面に見える山を登らなければならないのです。残り10km地点あたりから足は売り切れていました。


ぬかるみも楽しむつもりで


絶対に触れてはいけないカエンタケ


邑知潟地溝帯を走る 奥に見える里山の山腹がゴール

再び、里山トレイルに差しかかります。整備された竹林や杉林を抜けると70kmの看板が。残り3kmとなりましたが、きつい坂を上らされ、もう最後だと思い気力で走った先にあったのが、永光寺境内にある見上げるほどの階段。気合いを入れて駆け上がってゴール。


あと3kmでゴールだが、まだ上りが待ち受ける


ゴール直前の階段は主催者の粋な演出か


ケガや故障なく無事にゴール

11時間26分10秒。総合順位108位。しんどかったけれど、野山を駆け巡るトレランの爽快感は格別です。

いずれ出てみたい大会があります。「ウルトラトレイル・マウントフジ(UTMF)」。富士山麓の山梨県と静岡県をまたいで開催されているトレイルランニングのウルトラマラソンです。距離は100マイル≒167km。累積標高差8000m、制限時間は46時間。距離はもちろん、一昼夜以上を走り続ける過酷な大会です。このため参加資格として国際トレイルランニング協会がポイントを認定している大会に出場・完走し、最大3レースで12ポイント以上を獲得しなければなりません。ある程度の経験がないと参加できないのです。今回完走した「峨山道トレイルラン」は4ポイント与えられます。まずは参加資格を満たすためポイントレースの完走を目指していくつもりです。


車の中に寝袋などを持ち込み仮眠して午前2時に起床
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