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数家 直樹のブログ

称名滝~室堂往復”30km”トレラン

日記 ] 2017/09/15

V字に切れた滝口から射しこむ朝日

夏の登山&トレーニングの締めくくりに選んだのは、称名滝から大日岳、奥大日岳を登頂し、室堂を経由して立山黒部アルペンルートを駆け下りて、八郎坂を通って再び称名滝に戻る日帰り約30kmのトレイルランニングルートです。
ランニング仲間の案内で出発したのは、「秘境“雲ノ平"をぐるっと1周(9月8日ブログ公開)」から帰ってきた3日後の8月27日(日)午前7時すぎ。まずは大日岳(2501m)を目指し、日本一の落差350mの称名滝が流れ落ちる念仏のような音を右手に聞きながら登り始めます。鎖場のある急坂を1時間ほどで越えて、突然、視界が開けると、そこは“大日平"。目の前には大日岳の山容が迫り「さぁ登るぞ!」と気持ちが高揚してきます。


大日岳の登山口


称名滝の落差を足で感じる急坂


人さし指の向こうには大日岳が

火山である立山から流れ出た溶岩が固まってできた平らな台地であることを実感する木道をスイスイと。しばらく進むとその先に“大日平山荘"が見えてきました。空気は乾いていて視界は抜群、午後からも雨の心配はなさそうな安定した空模様です。
大日岳頂上に向けてグングン高度を上げていきます。眼下には2012年にラムサール条約登録湿地に認定された“弥陀ヶ原"が広がり、遥か先には、つい2、3日前に暴風雨の中を歩き視界がほとんどゼロだった黒部川源流域の山並みを望むことができました。


木道の奥に見えてきた大日平山荘


鏡岩越しに見る薬師岳と奥黒部方面

ところが、このあたりから体調に異変が。首のあたりから後頭部にかけて痺れるような鈍痛。さらに目の前が白くなって視界が狭くなり、体が思うように動かなくなりました。右手に大日小屋があり、左に進むと大日岳の頂上に至る稜線沿いの分かれ道でダウン。岩の上に座り込むしかありませんでした。こんなことは初めてです。5分ほど休むと回復してきたので歩き始めました。きっと“高山病"だったのだと思います。急に高度を上げたため順応できなかったのだと自己分析しています。
ここまで来ると景色が変わります。遠くに剱岳が姿を現すのです。登山口から3時間あまりで大日岳(2501m)の頂上に達しました。雲の向こうには、富山平野が広がる絶景が待っていました。


大日小屋近くまで登ると見える剱岳


剱岳をバックに大日岳頂上で


山頂から眺める富山平野と富山湾

不思議なもので、その後“高山病"の症状はなくなり、何の支障もなく登山を続けることができました。大日岳から奥大日岳までは、いったん登山道を下り、その後、登り返さないといけません。その間の景色の移り変わりが何とダイナミックで刺激的なことか。登山道のある稜線を挟んで右手には立山三山から室堂を経て称名川に深く抉られたV字峡谷、蛇行する立山黒部アルペンル-トが白い軌跡を描きます。左手には1週間前に登った早月尾根から剱岳山頂に至るルートが手に取るように分かり(9月1日ブログ公開)、その奥に続く北アルプスの峰々を遥かに望むことができるのです。
そして、約5時間後、奥大日岳頂上(2606m)に達しました。私たちがこれから向かう“室堂"から来た人も多く、山頂は多くの人で賑わっていました。


立山三山と称名川に抉られたV字峡谷


1週間前に早月尾根ルートで登った剱岳


大日岳頂上よりさらに剱岳が近くに見える奥大日岳頂上

山頂でエネルギーを補給した後、雷鳥沢を経由して室堂に向かいます。ここからはほぼ下りです。ソーメン滝の下流には大きな残雪の塊があり、真ん中に穴が開いて“勾玉"のように見えます。そして、高度を下げるにつれて雷鳥沢が近づいてくるのが分かります。すれ違う登山者に「最高の天気ですね」と声をかけると「まさに絶景ですね、私だけのものよ~」と、軽快に返ってきます。ひと休みポイントの雷鳥沢では、多くの登山者が冷たい水に手を浸したり、顔を洗ったりしていました。


勾玉のように見える丸い穴の開いた残雪の塊


雷鳥沢の地形が手に取るように分かる


登山者が列になって渡る雷鳥沢の橋

雷鳥沢から室堂までは上りです。整備された階段が多く、これまでの急坂に比べると苦にも感じません。ただ、心配になったのは、地獄谷から流れてくる火山ガス。あたりは硫黄の強い匂いが鼻を突き、喉が痛くなるほどです。2011年の東日本大震災以降、噴出量が多くなり、一帯は立ち入り禁止になりました。この火山ガスのため付近の高山植物は茶色く枯れていました。人への影響を与える恐れもあり、ガス濃度を調べる検知器や一定以上の濃度となると近くの山小屋へ避難を呼びかける看板が設置されています。


地獄谷から流れる火山ガスの煙


火山ガスによって枯れてしまった高山植物


ガス濃度が高い場合に避難を呼びかける看板

称名滝を出発してから7時間弱で室堂(2450m)に到着です。時間はかかりましたが、ここまでGPSウォッチの距離計で全ルートの約半分15kmほどです。水を補給して、立山黒部アルペンルートを駆け下ります。高原バスに乗って通ったことはありますが、自らの足で“走る"のはもちろん初めてです。遥か前方には2時間ほど前に山頂にいた奥大日岳があり、山の懐で遊ばせてもらっていることを実感します。2017年4月の開通時には19mの高さを誇った“雪の大谷"も、今は2mにも満たない“雪の小谷"になっていました。


室堂にある立山玉殿の湧水で喉を潤す


アルペンル-ト上を走る視線の先には奥大日岳


高さ2mにも満たない雪の大谷

アルペンルートを約12~13km下ると、右手に現れる“八郎坂"への登山道。ここから称名滝までは危険な急坂を下ります。1500mまで標高を下げたこのあたりは濃いガスに包まれていました。滝壺からの飛沫で湿度が高い上、下流部から断崖絶壁に向かって吹き上げる上昇気流によって常にガスが発生しやすい状況にあるのかもしれません。それが証拠に、八郎坂の登山道にある岩はほとんどに苔が生えていて、見た目以上にとても滑りやすいのです。一歩間違えば滑落や転倒しての骨折は免れません。この日のコースで最も気を使ったのが八郎坂でした。1時間ほどで無事下山。ほっと一息ついて今朝登った場所にたどり着いたときには、膝が笑っていました。ここまで時間にして9時間半、距離にして約30km、とてもいいトレーニングになりました。


アルペンルート沿いにある八郎坂下山口


ガスの中、細心の注意を払いながら下山


無事、到着した八郎坂の碑の前で


笑う膝

この山行でも、多くの人と出会いました。が、最も驚いたのが、この人との偶然の出会いでした。そう、“KNBニュースエブリィ"で毎週、“旬景とやま"を伝えてくれている濱谷一郎カメラマンを室堂で発見したのです。カメラや三脚をリュックに押し込み、一人で登山していました。この日、撮影された映像は、翌週の旬景とやまで“剱岳を望む"と題して放送しました。晴天のチャンスを逃さず撮影に出かけていることをあらためて知りました。


室堂で雄山をバックに濱谷カメラマンと

そんな“旬景とやま"が映像ではなく、“フォトブック旬景とやま"として10月6日に県内の主要書店で販売されることが決まりました。価格は2000円です。これまで10年間、約500回放送してきた選りすぐりの映像の中から1枚の写真として切り出してまとめたものです。そこに掲載されていたのは、8月に出かけたもののガスに覆われて望むことのできなかった“奥黒部の風景"。写真を眺めながら、いつ再登山しようか思いを巡らせています。


フォトブック旬景とやまの1ページ
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